2019 Fiscal Year Research-status Report
遺児へのグループによるグリーフケアプログラムの効果測定
Project/Area Number |
17K18248
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
倉西 宏 京都文教大学, 臨床心理学部, 講師 (40624284)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 死別 / 複雑性悲嘆 / あいまいな喪失 / グリーフケアスペース / 離婚 / 臨床喪失学 / 弁証法的喪の過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺児へのグリーフケアプログラムについて検討を行うために、2019年度は以下の研究に取り組んだ。 グリーフケアグループに関する効果測定として、遺児大学生を対象とした「親との死別体験をわかちあう会」の参加者への事例研究を行った。その事例研究では両親の離婚によって離別に至った父との死別体験を経た遺児大学生がグループ参加によって生じる体験とそのプロセスについて検討を行った。そこではこれまで曖昧であった父との別離が、グループに参加することを通して向き合うこととなり、明確化されていくことが見出された。さらに、父との別離が明確化されると共に父との心理的つながりが生まれるようになり、父との別離と父とのつながりが同時的に弁証法的に訪れることが見出された。 これらのプロセスにおいて複雑性悲嘆得点についても検討を行った。そこではグループへの参加に伴って一度悲嘆が上昇するも、その数か月後には大きく低下するプロセスが見出された。つまり死別体験に向き合うことを通して一度は喪失対象との様々な体験や喪失体験が賦活するものの、一度賦活させ主体的に喪失体験に向き合い取り組むことで、結果的に悲嘆が低下することが見出されたと言えるだろう。 また、グリーフケアプログラムを実施するための運営母体となる研究会である「京都文教大学臨床喪失学研究会」を立ち上げた。そしてそこを母体とした「京都文教大学グリーフケアスペース「Co*はこ」」を立ち上げ、2020年度以降に活動を始める準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのグリーフケアグループの効果の検討等を行うことを通して、実際のグリーフケアプログラムを実施する土台が積み上げられている。実施団体も設立することができ、最終的な目標であるプログラムやグリーフケア活動の実施を行うところまで進めることができている。ただ、所属大学を異動したため、スムーズに予定を遂行することができなかった部分がある。具体的にはグリーフケアグループの活動を当該年度中に開始することが目標ではあったが、それができなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「京都文教大学グリフケアスペースCo*はこ」の活動を進め、グリーフケアグループやプログラムを実施し、その効果測定を行う。効果測定はグループ内での表現内容、悲嘆尺度を用いた数値的な側面、面接や描画等の手法を用いることを検討している。 参加者の募集活動として、インターネットや地域の新聞等を用いた広告を打ち出し、募集を行うことを検討している。 現状としてはコロナウィルスの影響から、対面での活動を行うことが困難になってしまっている。そのため、オンラインでの実施等も検討を行っているが、安全に実施するための課題も多いため、今後検討が必要となっている。
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Causes of Carryover |
大学内の個人研究費を使用することができたため、使用金額を削減することに至った。次年度はグリーフケア活動を行うことになり、予定以上の広報費用が必要となることが考えられる。そのため、翌年度に繰り越しになった分は、その広報支出として利用することで、研究計画をより遂行することに寄与できることが考えられる。
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Research Products
(1 results)