2017 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍免疫賦活機能を付加した癌特異的複製型HSV-1による肝細胞癌への治療開発
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17K18252
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中竹 利知 関西医科大学, 医学部, 助教 (40779401)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 第三世代制限増殖型遺伝子組換えHSV-1 / G47Δ / IL-12 / 可溶型B7-1 / ソラフェニブ / 抗腫瘍免疫 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)第三世代がん治療用HSV-1による細胞障害とエントリーレセプターとの関連性の検討:Nakatake R et al. A third-generation oncolytic herpes simplex virus inhibits the growth of liver tumors in mice. Cancer Sci. 2018; 109: 600-610.において、in vitroでの第三世代がん治療用HSV-1(T-01)の細胞障害性実験を行った。肝がん細胞株15種類の検討において、T-01による抗腫瘍効果の弱い2種類の細胞株(HLEとJHH5)が存在した。肝がん細胞株における第三世代がん治療用HSV-1の抗腫瘍効果はエントリーレセプターの発現に依存する可能性があり、細胞障害性と Nectin-1およびHVEMの発現との関連性を検討した。T-01による抗腫瘍効果が強かったHuH-7ならびにPLC/PRF/5を含めて、HLEとJHH5におけるHVEMとNectin-1の発現をFCM法を用いて確認した。HVEMはHuH-7での発現、そしてPLC/PRF/5とJHH5での非常に弱い発現を認めた。Nectin-1はJHH-5のみ非常に弱い発現を認めた。効果の強かった細胞株(HuH-7,PLC/PRF/5)と効果のなかった細胞株(HLE,JHH-5)では、細胞障害性とNectin-1,HVEMの発現に相関はなかった。 (2)T-01とソラフェニブの併用療法による直接的な抗腫瘍効果の検討:武装化ウイルス(T-mfIL12, T-B7-1)の検討を行うと同時に、T-01と現在臨床で使用されているソラフェニブとの併用の効果を検討した。ヒト肝細胞がん細胞株に対し、in vitroでの相乗効果を確認した。またin vivoでの、ヌードマウス皮下モデルにおける、ソラフェニブの血管新生阻害効果とT-01の直接的な抗腫瘍効果との併用による効果を確認した(TUNNEL染色など)。 (3)T-mfIL12, T-B7-1の培養細胞における効果検討:in vitroでの、T-01と比較したT-mfIL12, T-B7-1のマウス肝癌に対する抗腫瘍効果と複性能の確認について、現在実験中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスの準備に少々時間を有したが、当初の研究計画どおりに遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
同種の両側側腹部皮下移植腫瘍モデルでの、T-mfIL12, T-B7-1の直接治療効果ならびに非接種部位に対する特異的抗腫瘍免疫効果の検討を行う。前臨床実験にて有効性を確立し、基礎的データの集積により肝細胞癌の根治的な治療を目指す。
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Causes of Carryover |
実験計画が順調に進み、予定が早まればH30年に計画していた動物実験をH29年に前倒すため、H29年の予算に動物実験の経費を一部計上していた。動物実験は予定どおりH30年に行うため、次年度使用額をH30年の予算と合わせて使用する。
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