2017 Fiscal Year Research-status Report
LFA-1活性化シグナルによる細胞外小胞排出機構の解明
Project/Area Number |
17K18253
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
近藤 直幸 関西医科大学, 医学部, 助教 (30570840)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫シナプス / 細胞外小胞 / LFA-1 / Kindlin-3 / Rap1 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫応答時に細胞間で形成される特徴的超分子構造である免疫シナプス(IS)は, 細胞間相互作用を長期的に維持することで, 細胞間シグナル伝達, 標的細胞殺傷等を促進する.IS形成には, 機能性分子を含む細胞外小胞の方向性のある排出を伴うことが近年の研究から示唆されてきたが, その詳細なメカニズムは不明であった.本研究では, ISの形成・維持に重要な働きを担うリンパ球接着分子インテグリンLFA-1の細胞外小胞排出への寄与に注目し研究を進める. 本年度は, インテグリンの活性化に必要であるRap1とその下流因子群のノックアウト(KO)マウスから単離した初期培養T細胞, または各因子群をノックダウン(KD)した初期培養T細胞を用いてIS解析を行い, 細胞外小胞が蓄積するIS内のcentral SMAC領域の大きさを比較した. Rap1-KO, 活性型Rap1と結合するRAPLのKD, その下流のキナーゼであるMst1-KO, Mst1のリン酸化標的物質の一つであるNDR1-KD, LFA-1の活性型構造を安定化するKindlin-3-KOの全てにおいて野生型と比べて細胞外小胞蓄積領域の面積が減少した.また, NDR1とKindlin-3が直接相互作用することを見出し, Rap1活性化からインテグリン活性型構造安定化に繋がる一連の過程が小胞排出に重要であることが示された.さらに, Kindlin-3とともにLFA-1に直接結合することで活性化を誘導するTalin-1のLFA-1内の直接相互作用部位を変異させたノックインマウスを新規に作製し, 同様の解析を行ったところ, 領域の大きさは減少することが明らかになった.以上のことから, Rap1下流の活性化因子群がLFA-1に直接作用し, LFA-1の活性化を促すことにより, 細胞外小胞の蓄積・排出が促進されていることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インテグリン活性化因子群の一連のノックアウト, ノックダウン細胞の作製とその免疫シナプス解析に成功し, その結果, 細胞外小胞領域の退縮が全条件において示されたため,当初の計画の通り,細胞外小胞排出に伴うインテグリン活性化シグナルの重要性がおおむね順調に解明されつつある.また, LFA-1の活性化因子相互作用領域の変異体発現細胞の作製にも成功し, 上記と同様の知見が得られたことから, LFA-1の直接的な関与を強く示唆することが出来たため, 目的の達成へ進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
Rap1下流からLFA-1へつながる活性化の経路が細胞外小胞排出の鍵となることは, これまでの申請者の研究で示されつつあるが, 細胞内小胞輸送系のどの因子とLFA-1活性化経路が密接にリンクしているかは未だ不明であるため, その解明を目指して, 輸送系因子群の一連の解析を進める予定である.
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Research Products
(4 results)