2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18257
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
安澤 俊紀 近畿大学, 農学部, 契約助手 (80734425)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 肥満 / 血管内皮細胞 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライフスタイルの変化により糖尿病およびその合併症である糖尿病性腎症患者が急増し、国内外において問題となっている。さらに、糖尿病性腎症は透析導入原疾患の第一位となっており、医療経済的にも問題である。しかしながら、糖尿病性腎症の根本的な治療方法はいまだ確立しておらず治療法の開発が急務である。糖尿病性腎症の原因の一つにEndothelial Mesenchymal Transition (EndMT)による腎線維化が考えられている。本研究では、糖尿病性腎症におけるEndMTの進展とそれに対するEPAの効果を検討する。 脂肪細胞の肥大化は肥満や糖尿病と関連していることが知られているため、脂肪細胞が血管内皮細胞のEndMTへ及ぼす影響を評価した。マウス由来3T3-L1細胞を脂肪細胞へと分化誘導し、分化0-8日目までの培養液を用いて血管内皮細胞を48時間培養した。脂肪細胞の油滴蓄積はOil red O染色により確認した。脂肪細胞の分化日数とともに油滴蓄積量は増加した。血管内皮細胞においてEndMTが進行すると血管内皮細胞マーカーであるCD31発現量の減少と線維芽細胞マーカーであるSM22α発現量の増加が認められる。そのため、CD31の発現量とSM22αの発現量をウエスタンブロット法により確認した。脂肪細胞分化0-8日目までの2日毎の培養液で培養した血管内皮細胞のCD31発現量は分化日数が進むにつれ減少した。一方、SM22αの発現量は脂肪細胞分化日数と共に増加を示し脂肪細胞分化8日目では有意に増加した。このことから、脂肪細胞の肥大化に伴い培養液中に分泌される物質が血管内皮細胞のEndMTを引き起こす可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病性腎症におけるEndMTの進展を評価するため、in vitroにおいて血管内皮細胞と脂肪細胞を用いて検討を行った。当初、グルコースや脂肪酸であるパルミチン酸による血管内皮細胞のEndMTを評価する予定であったが、現在、検討を継続中である。一方、脂肪細胞の肥大化に伴い培養液中に分泌される物質が血管内皮細胞のEndMTを引き起こす可能性が見出された。そのため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、動物実験によりEPAの糖尿病性腎症進展抑制作用の検討を引き続き実施する。腎臓病理組織解析により、血管内皮細胞のEndMTの程度を評価する予定である。また、EndMTにより血管内皮細胞の遊走能が増加することが知られているため、血管内皮細胞を脂肪細胞と共培養(二層培養)し血管内皮細胞の遊走能を検討する予定である。さらに脂肪細胞の培養液により引き起こされるEndMTの作用機序の検討と、それに対するEPAの効果の検討を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
動物実験における腎臓病理組織解析および培養血管内皮細胞を用いた実験を継続しているため、実験に必要な消耗品購入費用に残額が生じた。そのため、次年度使用額として計上し、実験遂行に必要な消耗品の購入に充てる予定である。より計画的に使用する。
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