2017 Fiscal Year Research-status Report
免疫寛容の誘導による関節リウマチに対する新たな治療戦略に関する基礎研究
Project/Area Number |
17K18263
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉田 侑矢 摂南大学, 薬学部, 講師 (50581435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Interleukin-10 / 免疫寛容 / FTY720 / 病因抗原 / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにglucose-6-phosphate isomerase peptide(GPI325-339)誘導性関節炎マウスに対して、FTY720と病因抗原の併用療法により1)効果的に寛解を誘導できることおよび2)新規性interleukin(IL)-10高産生性細胞のGITR+CD25-CD4+T細胞が誘導されることを明らかとしている。本研究では、その細胞の特性について調べた。以下、その結果を記述する。 1)FTY720と病因抗原の併用療法で治療したGPI325-339誘導性関節炎マウス由来GITR+CD25-CD4+T細胞をanti-CD3/CD28 dynabeadsおよびIL-2存在下で刺激し、interferon(IFN)-γおよびIL-4の発現レベルを解析した。その結果、IL-10以外にIFN-γおよびIL-4のmRNA発現レベルも高く、エフェクターT細胞を含むヘテロな細胞集団である可能性が示された。 2)GITR+CD25-CD4+T細胞の中でも、本併用療法によって特に増加している集団が発現する表面分子について、フローサイトメトリー解析した。その結果、T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains(TIGIT)およびCD39を共発現する集団が増加していることが明らかとなった。 3)TIGIT+CD39+、TIGIT+CD39-、TIGIT-CD39+ およびTIGIT-CD39-GITR+CD25-CD4+T細胞のサイトカイン産生パターンについて、細胞内染色法で調べた。その結果、TIGITを発現する細胞で、IL-10の産生レベルが高かった。また、本併用療法で増加するTIGIT+CD39+GITR+CD25-CD4+T細胞は、IFN-γも共産生することが明らかとなり、エフェクターの要素も兼ね備えている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初29年度研究実施計画: GPI325-339誘導性関節炎マウスをFTY720とGPI325-339の併用療法で5日間治療し、 1)治療完了時の鼠径リンパ節からGITR+CD25-CD4+細胞を自動細胞分取装置で分取し、anti-CD3/CD28 dynabeadsおよびIL-2存在下で刺激後、種々のサイトカイン発現量をリアルタイムPCR法で解析する。 2)1)で変動のみられたサイトカインについて、細胞内染色法により、IL-10産生性T細胞に特化したサイトカイン発現パターンを解析する。 3)本併用療法で増加するIL-10産生性T細胞をより詳細に識別するための表面分子を探索する。
達成度: 1)を実施した結果、GITR+CD25-CD4+細胞分画は、エフェクターT細胞を含むヘテロな細胞集団であることが示されたため、先にGITR+CD25-CD4+細胞分画の中でも本併用療法で増加する細胞の表面分子を、様々な蛍光色素標識抗体を用いたフローサイトメトリー解析により調べた。その後、細胞内サイトカイン染色法を用いて、増加した細胞集団のサイトカイン発現パターンについて調べた。本併用療法で増加するIL-10産生性T細胞が発現する表面分子、サイトカイン産生パターン等、新たな要素を見い出せたことから、概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初30年度研究実施計画: 29年度と同様にGPI325-339誘導性関節炎マウスをFTY720とGPI325-339の併用療法で5日間治療する。次に、29年度で見い出した本IL-10産生性T細胞を識別するための表面分子に対する蛍光色素標識抗体で染色し、自動細胞分取装置で分取する。分取したIL-10産生性T細胞を、別のGPI325-339誘導性関節炎マウスに移入し、病勢を抑制するか否かを評価する。
研究の推進方策: 29年度に見い出した知見から、IFN-γ産生性のエフェクターT細胞が、本治療により、IL-10産生性T細胞に分化している可能性も考えられた。従って、先ず、経時的なリンパ節内のIL-10産生性T細胞の割合の変化等を調べる。また、29年度では、本併用療法で増加する細胞の表面分子を特定できたが、IL-10産生細胞のみを特異的に識別できる表面分子の特定には至っていない。従って、増加するIL-10産生性T細胞の特性の解析手法を遺伝子学的な網羅解析に切り替える。即ち、GITR+CD25-CD4+細胞分画の中で、IL-10を産生する細胞と産生しない細胞を、生かした状態で、染色、分取し、それらの差異についてRNAシークエンス解析で明らかとする。
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Research Products
(3 results)