2018 Fiscal Year Research-status Report
Reenactment of Traumatic Memory in the arts after 1980
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17K18269
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
石谷 治寛 京都市立芸術大学, 芸術資源研究センター, 非常勤講師 (70411311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エイズ危機 / HIV/AIDS / ダムタイプ / ドラァグ / クラブカルチャー / ダンス / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
1980-90年代のエイズ危機の時代の美術の展開に関する資料整理と文献調査を行なってきたが、その研究成果を森美術館で「MAM006:クロニクル京都1990s:ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」と題して、共同企画者として展示公表できた。ここでは、当時の活動に関わっていた当事者24名へのインタビュー調査を行い、その映像を編集し、行われた出来事についての解説を執筆した。あわせてトークのモデレーションと関連イベントの記録撮影などを行った。展示企画のテーマとして、アクティヴィズムを含む1990年代京都のアートシーンの展開だけでなく、クラブカルチャーでのドラァグクイーンのパフォーマンスにも焦点を行う展示内容となり調査を広げることになった。 本調査に関しては、森美術館による3ヶ月に渡る展示期間を通して研究成果を公表出来たため、多くの人々の反応や関心を得ることができ、とても有意義なものとなった。旧アートスケープ蔵の資料整理については、さらなる調査の可能性なども浮かびあがり、今後の研究活動として続けていく必要がある。また、アーカイブ展示を通した、記憶のエナクトメントや過去の作品の再演といった課題についても、本事例を通して考察する手がかりにもなった。ドラァグや異装といった話題も含む、ジェンダーイメージの反復とズレを通した「再演」、クラブカルチャーとダンスといったテーマについても考察を深めていく必要があるだろう。 また海外調査に関しては、フランス、ベルギーなどで、ダムタイプ展をはじめとして、本研究テーマに関わるアーティストの個展を視察することが出来た。とりわけヒワ・Kやメラニー・ボナジョに関しては今後考察を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題としている1990年代の京都を中心とした美術資料の調査については、展示企画の実現もあり当初の計画以上に進展しており、調査結果の公表も可能となった。その反響も含めて、当初予定していた以上の資料の広がりがあり、関係者も多く、今後の課題も見えてきた。さらなる整理や公表の可能性を現在、模索中であり、その実現に向けていく。 他方で、海外調査に関しては、ある程度の視察を進めることが出来たものの、調査結果の考察や公表が十分に出来ていない。日本での研究の進展も踏まえたうえで、海外の状況との比較考察については、今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
旧アートスケープ蔵の資料調査については、本年度も研究成果の公表を予定しており、これまでの研究成果を発展させながら、展示公表の機会と資料集の制作に取り組んでいく予定である。少なくとも2020年度までは継続して調査を深めていく。 国外の状況の調査に関しては、過去の調査も含めて、課題を整理して、テーマに沿って文章としてまとめる作業を行ない、これまで以上の公表の可能性を模索していく予定であり、研究成果の公開を進めていく。
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Causes of Carryover |
森美術館での共同企画を担当することになり、科研も含めたこれまでの調査の一部を公表できた。公表は森美術館主催で行われたため、研究費を用いた公表の機会が先送りになったため。今後、京都精華大学での資料の展示企画も含めて、公表の機会を継続する予定で準備を進めている。
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