2019 Fiscal Year Research-status Report
Reenactment of Traumatic Memory in the arts after 1980
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17K18269
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
石谷 治寛 京都市立芸術大学, 芸術資源研究センター, 非常勤講師 (70411311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エイズ危機 / アート・アクティビズム / 外傷記憶 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代京都で展開したエイズ危機の時代のアート・アクティビズムについての調査を2016年度から進めている。美術資料や記録映像のデジタル化やそれらのデジタルアーカイブ構築、資料展示の可能性、その活動の意義に関する国際的な文脈を踏まえた歴史的考察を重ねてきた。2018年に森美術館で行われた展示企画についての記録集を6月に発刊し、2019年度の6月から7月にかけては京都精華大学ギャラリーフロールで展示企画「ヒューマンライツ&リブ博物館 アートスケープ資料が語るハストリー」をディレクションした。その研究実践に関する論考を、京都市立芸術大学芸術資源研究センター紀要「COMPOST」にて発表した。外傷記憶の再演という課題において、美術運動のアーカイブの実践を通して考察を深めた。また外傷記憶を主題にする美術家として塩田千春に関する論考を美術手帖誌上に発表した。 国際的な美術の動向に関する調査としては、とりわけピエール・ユイグがディレクターを努めた岡山芸術交流についてのレビューを美術手帖のウェブ版に発表したが、あわせてフィリップ・パレ―ノ、カミーユ・アンロらフランスの美術家による展覧会と文献調査を行うことができ、テクノロジーによる自然の制御とその不可能性という観点で創作を行う美術家に関する知見を深めることができた。さらにヴェネチア・ビエンナーレやミュンヘンなどの欧州の美術状況の調査では、リュック・タイマンス、ミリアム・カーン、マリア・ラスニックらの外傷記憶を主題とする画家の個展を通して、現代の絵画表現の傾向について考察を深めることができた。他方で、北米の調査では、LGBTやエイズ危機の時代のトラウマに関する文献調査を行い、クリスチャン・マークレーやJRなど、文化的差異に基づく外傷記憶を超えた群衆の経験を通して、コミュニティや都市の記憶をつなげる近年のメディア実践についての知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
とりわけエイズ危機の時代のアート・アクティビズムの調査や展示実践が具体化したために、この方面の研究は成果公表とともに著しく進展させることができた。また、研究課題として焦点をあわせていたフランスの美術家の試みについての調査も、日本での展示が重なり、美術雑誌でのアーティスト・インタビューなども行うことができたために進展している。前年度までに調査を行った「ドクメンタ14」に関する調査報告なども研究会で発表を行い、現代美術の動向についての整理も並行して進めることができ、計画以上に研究は充実していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
京都精華大学での展示資料についてそれを振り返るテクストを加えた記録集の編集と公表を本年度中に行う予定で準備をしている。この調査については、これで一区切りがつけられると考えられるが、この知見をもとにダムタイプの創作活動について振り返り、考察を深めていきたいと考えている。2019年度はピエール・ユイグを中心として現代の美術の動向やエコロジーや環境思想をテーマにした展覧会の動向について調査を進めたが、この方面の研究をさらに進める必要がある。とりわけ環境の破壊や、人間以外の生物の傷を通して、現代文明を再考しようとする近年の美術の動向は、外傷記憶をより広い環境問題や植民地主義の観点から捉え直す傾向が見られる。そうした動向の調査をさらに進めていく。コロナ禍の状況に気をつけながら、マルセイユのマニフェスタ13の視察を行うことを通して、フランスや欧州の動向についての調査を深める。
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Causes of Carryover |
京都精華大学の展示に関して、依頼のあったギャラリーフロールの予算で展示を行ったので、研究成果の展示公開を行うことができた。その分、本年度に展示も含めた記録集を編集することで、資料調査の成果公表を行う予定である。
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Research Products
(5 results)