2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reenactment of Traumatic Memory in the arts after 1980
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17K18269
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
石谷 治寛 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70411311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エイズ / トラウマ / 外傷記憶 / 再演 |
Outline of Annual Research Achievements |
1980年代以降の芸術実践における外傷を再演するアートの実践について国内外の動向に関する調査が課題としてきた。一方で、エイズ危機の時代の京都での芸術文化活動を中心に1980年代以降のアーティストがいかにしてAIDS感染症とそれによる喪失に美術を通して向き合ったか、国内外の事例を通して資料調査を行い、森美術館および精華大学で資料展示として発表し、2冊の記録・資料集を作成することができた。その成果を総括する考察を進めた。 他方で1980年代以降の美術動向の国際的な調査としては、外傷記憶を主題として既存のナショナルな外傷を描き直す画家の試みについて、知見を整理した。またパフォーマンス・映像・インスタレーションで再演する美術家たちは、これまで歴史的外傷を主題にしてきたが、2010年代以降はますます気候変動を主題に、自然環境の崩壊や動植物の移動をテーマに外傷の再演の方法をさらに深めて考察を続けていることを考察した。 2021年度は続くコロナ禍のため海外調査を行うことができなかったため、国内調査が中心になった。研究拠点が関西から広島に移り、改めて広島や長崎の被曝を題材にした表現や地域の博物館や文化施設、被曝建物の視察調査を行った。 特に広島の文化芸術の歴史と被爆後の成長、地域固有のマイノリティの歴史と文化という観点について資料調査を進めたが、まだ十分な整理が行えていないため、県内の研究者との連携も視野にいれながら、今後の課題としたい。
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