2018 Fiscal Year Research-status Report
高速回転式LED送信機を用いたカメラ型可視光通信の高速化及び全方位受信の実現
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17K18282
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
荒井 伸太郎 岡山理科大学, 工学部, 講師 (10599195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可視光通信 / LED / イメージセンサ / 回転 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は前年度開発した「高速回転式LED送信機」からの信号を検出及びデータ復調を行うための受信アルゴリズムの開発を行った.まず,本通信システムの通信フォーマットを検討した.本システムではパケット構成での通信を行い,パケットフォーマットはヘッダ部を送信機の回転6回転分,データ部をその20回転分で構成した.ヘッダ部の役割はデータの開始を知らせ,さらに回転によって画像の空間方向に複数点滅された各LED光の座標取得である.本研究では,送信機が回転1度ごとに点滅が切り替わるように設計していることから,一周360度の内,偶数角度 (0, 2, 4, ・・・, 358) のみ点灯するパターンを2回転,奇数角度 (1, 3, 5, ・・・, 359) のみ点灯するパターンを2回転挿入した.さらに,受信機側がデータを取得する範囲を知らせるためのパターンを2回転挿入し,これをヘッダ部と決めた.データ部ではデータをOn-Off-Keying (OOK) によって変調されたデータと仮定して,M系列に従うランダム点灯パターンを挿入した. 受信機側では,送信機の回転による点灯範囲及パケットの先頭は検出できたと仮定して次のようにデータの復調を行った.まず,ヘッダ部の点灯パターンから各角度におけるLEDの点滅座標の取得とデータ範囲の取得を行った.次に,取得した座標とヘッダ部の点灯パターンを用いて,データ判定用の閾値を決めた.最後に,取得した座標と閾値を用いてデータ部のオン/オフ判定を行い,データを復調した. 以上のアルゴリズムを用いて実験を行ったところ,座標取得が成功した範囲においては通信の誤りなく,復調に成功した.また,データ転送レートを算出したところ,回転しない従来の単純なOOK手法と比べて約40倍の向上が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は平成29年度に開発した「高速回転式LED送信機」を元に受信アルゴリズムの開発に注視することを目的としており,上述の「研究実績の概要」で説明した通り,座標取得が成功した範囲においては通信の誤りなく,復調に成功した.また,データ転送レートを算出したところ,回転しない従来の単純なOOK手法と比べて約40倍の向上が確認できた.以上のことから,現在のところ,本研究課題の進捗はおおむね順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,開発した送信機と受信アルゴリズムの改良を行う.上述した通り,現在のところ,受信機側で各角度におけるLEDの点滅座標が正確に取得できた範囲においては誤りのない通信が達成できている.しかしながら,座標の取得が誤った場合,データ復調精度が大幅に劣化してしまうことが平成30年度に明らかになった.そこで,今年度は正確な座標取得を行うためのアルゴリズム改良,及び,送信機のLEDの点滅方法の改良を行い,通信性能の向上を目指す.加えて,回転させたLED送信機であれば,受信機はどの方角からも同じ明るさのLED画像を撮影できるため,可視光通信の全方位(360°)受信が可能なことを証明するため,異なる位置に設置した2台以上のカメラを同時に用いての受信特性を調査する.さらに,得られた成果を国内研究会及び国際会議で随時発表する所存である.
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Causes of Carryover |
平成29年度及び30年度に開発した「高速回転式LED送信機」とその受信アルゴリズムの開発費用に関して,当初計画していたものよりも安価な装置・部品を用いることに方針転換した.加えて,本研究で開発した装置とアルゴリズムを特許出願することになり、本研究の全てを論文発表及び学会発表することを控え,特許とは関係のない範囲の成果の一部のみを発表したことにより,学会参加費や旅費の支出が当初よりも少なくなったことから,次年度使用額が生じた.そこで令和元年度は,送信機と受信アルゴリズムの改良や,特許出願後に本研究の成果を学術論文や国際会議で発表するために,次年度使用額を用いる.
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Remarks |
「Communication System Laboratory」は研究代表者である荒井のWebページです。
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Research Products
(5 results)