2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic investigation of nose to brain drug delivery pathway and application of intranasal administration to drug therapy for CNS disorders
Project/Area Number |
17K18285
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
井上 大輔 就実大学, 薬学部, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中枢系疾患 / 経鼻投与 / 脳内薬物送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
経鼻投与された薬物は、①鼻粘膜吸収され血中に移行した後、血液脳関門を通過する経路と、②鼻腔内の嗅神経領域から脳へと直接移行する経路が知られており、経鼻投与後に薬物は両経路を介して脳内へと送達される。現状では、脳への送達性の違いや両経路の寄与度など、経鼻投与後の脳移行メカニズムが不明瞭であり、脳移行動態の正確な定量評価は不可能であった。そこで、中枢系薬物の中から、物理化学的性質の差異による脳実質、脳脊髄液、血中移行性の異なる薬物として、caffeine、sulpiride、fluoxetine、fluvoxamine、meprobamateを選択し、経鼻投与後の詳細な脳移行動態の評価を行った。本研究では脳部位別分離評価法を確立することで、脳移行動態の詳細な定量解析を試みた。 確立した分離評価法では、脳組織を4部位に分離し、加えて脳脊髄液および血液を同時採取し、経鼻投与後の血中動態および脳部位差を含めた脳移行動態を詳細に定量評価できることが明らかとなった。本法を利用してモデル薬物5種の経鼻投与後の脳移行動態を薬物動態学的解析した結果、薬物の物理化学的性質に応じて、脳各部位および脳脊髄液、血中への移行性、経鼻投与後の直接移行を介した脳移行率(量)などが異なることが明示できた。薬物の物性は経鼻投与後の脳移行性に大きく影響し、治療効果を得るために必要な有効量の脳内送達を可能にするためには、薬物の物性を考慮した脳内移行性の定量評価が重要であり、本法を利用することで、詳細な脳移行動態の解析および脳移行性の推定が可能となることが示された。 現在、各種中枢疾患治療薬の体内動態および脳移行性の薬物動態学的評価が完了したため、疾患モデル動物を用いた実際の治療効果を検討する準備を進めており、今後は、経鼻投与による有用な中枢疾患治療戦略の新規確立を目指して研究を継続する予定である。
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