2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18286
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
鈴木 亜由美 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40435045)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情動調整方略 / 就学前児 / ネガティブ情動 / 養育者評定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,就学前児の情動調整方略の発達的特徴について検討するものである。2018年度は,2017年度に作成した就学前児の行動的方略,認知的方略の両者を含む情動調整方略のレパートリーを測定する課題に見られる個人差が,養育者が評定する子どもの日常的な情動調整に関わる行動とどのように関連しているのかを検討するための個別調査を行った。 大学の心理学実験室に来室した,幼稚園・保育園等の年中・年長学年にあたる子ども(4-6歳児)38名(男児18名,女児20名,平均64.3ヶ月)に対して,情動調整方略課題(鈴木, 2019)を一部修正した課題と,「PVT-R絵画語い発達検査」を実施した。またその主養育者に対して,自己制御機能尺度(大内・長尾・櫻井, 2008)の「自己主張」,「自己抑制」,「注意の移行」,「注意の焦点化」,計22項目と,問題行動尺度(髙橋・岡田・星野・安梅, 2008)の「内在化問題」,「外在化問題」,計12項目への回答を求めた。 その結果,就学前児の情動調整方略の中でも,特に認知的方略についての理解と,自己制御機能尺度の「自己主張」,「自己抑制」の評定値との間に,月齢・言語月齢を統制した上でも有意な正の相関が見られた。この結果は仮想場面に見られる情動調整についての認識と日常的な情動調整行動に関連が見られるという仮説を一部支持するものであったと考えられる。 以上の研究成果については,日本発達心理学会第30回大会にてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画においては,現時点で就学前児の情動調整方略レパートリーを検討する指標の作成とそれらの情動調整方略の生成に関わる個人内要因(言語課題,心の理論課題)の検討(研究1),就学前児の情動調整方略課題におけるレパートリーと日常場面での行動(養育者評定)との関連の検討(研究2)を終え,それらの成果を学会誌に投稿する予定をしていた。しかしながら,研究1・研究2ともに用いた課題や尺度の内容について不十分な点があったことから,それらを修正してデータをとりなおす必要があると考えている。よって,当初計画通り保育場面に見られる情動調整方略の検討(研究3)に直ちに進むことができないことから,進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に上記の研究1と研究2について課題や尺度の内容を修正して,データを取り直す予定である。就学前児の情動調整方略レパートリー,情動調整方略の生成に関わる個人内要因(言語課題,心の理論課題),日常場面での行動(保育者評定)の3つを同時に測定し,関連性を検討する。第2に当初計画の研究3となっていた,保育場面に見られる情動調整方略の自然観察による検討を行うこととする。
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Causes of Carryover |
年度末に購入した物品の金額が予定よりも低く抑えられたことや,学会出張を都合により旅程短縮したことによるものである。次年度の物品費または旅費として使用する。
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