2017 Fiscal Year Research-status Report
医療の質と経営の質を相互に高める経営意思決定支援システム開発に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
17K18292
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
前田 瞬 徳山大学, 福祉情報学部, 講師 (40758984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医業経営 / 経営の質 / 医療の質 / 情報品質 / 自治体病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、本研究課題に関わる論文2件、学会発表1件を行い、研究実績を公表した。各論文・学会発表内容の具体的な概要は以下の通りである。 まず、前田瞬(2017)「北海道内自治体病院の経営効率性分析」『都市学研究』第54号(査読あり)では、北海道内の自治体病院の深刻な経営状況を打開するための方途を検討するため、DEA(包絡分析法)を用いて、北海道内88件の自治体病院について経営効率性の現状を明らかにしている。本論文では、DEAの中でも一般的な分析モデルであるCCRモデルを用いて分析を行っている。 次に、前田瞬(2018)「DEAを用いた山口県内自治体病院の経営効率性評価」『徳山大学総合研究所紀要』第40号(査読なし)では、山口県内の自治体病院15件について、DEA(包絡分析法)のCCRモデルとBCCモデルの2つのモデルを用いて「生産効率性」と「収益効率性」の両側面から経営効率性の評価を行っている。そして、非効率的な経営を行っている病院に対する改善目標案を提示している。 最後に、前田瞬「医業経営ポジショニングモデルの戦略的活用に向けての検討:山口県内の公的病院を事例に」第55回日本医療・病院管理学会学術総会、2017年10月の学会発表では、2015年に筆者が提案した医業経営のポジショニングモデルの戦略的活用の可能性について検討した結果を報告している。モデルの有用性や戦略的活用の可能性を検証するために、山口県内に立地している公的病院22件の経営情報を用いて検証を行っている。 以上、2017年度は、北海道及び山口県の自治体病院の経営情報を分析し、医療の質と経営の質の両立を指向した経営意思決定支援システムの構築に関わる様々な分析手法の有用性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に示したように、2017年度に関しては、北海道及び山口県の自治体病院の経営情報を分析し、医療の質と経営の質の両立を指向した経営意思決定支援システムの構築に関わる様々な分析手法の有用性について検討を行った。論文2件、学会発表1件を公表し、順調に研究を遂行できている。 なお、2017年度計画では、当初、国内の医療機関へのWebアンケート調査を行い、医療機関が収入や費用といった会計情報をどのように医業経営に活用しているのか、病院の情報管理体制やIT ガバナンスはどのように機能しているのかという実態調査を行う計画だった。しかし、すでに公表されている医業経営情報をいかに利活用するのかを重視した研究を遂行したため、Webアンケート調査は実施しなかった。その代わりに、日本医療・病院管理学会学術総会や例会、その他の研究会等で、病院管理を専門とする研究者、病院経営管理者(事務部長等)、医業経営コンサルティング会社の担当者から、医業経営において様々な会計情報をいかに活用しているのかという点についてヒアリングを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始初年度ではあるが、自治体病院を中心に基礎的な医業経営情報を集め、現在利用されている様々な分析手法の有用性について検討を行うことができている。2018年度は、前年度にヒアリングを行った内容を参考にし、医業経営に関わる意思決定支援システム構築に向けた基礎的研究を着実に遂行していきたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度に購入を計画していた物品(デスクトップPCならびにノートPC)が、当初計画していた予算よりも僅かに上回ったため、他の項目との調整の上で購入した。そのことにより、最終的な決算額として2,418円の差異が生じてしまった。 平成30年度に関しては、予算額が大きな物品の購入計画はないため、予算の通りに研究を遂行できると思われる。また、2,418円の差異分の使用計画は、物品費に割り当て、研究遂行に必要な書籍の購入に充てたい。
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