2018 Fiscal Year Research-status Report
極性を有するマクロファージ投与による重症虚血肢の血流改善効果の検討
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17K18299
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
西中村 瞳 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (90597692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 虚血肢 / 細胞治療 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はM-CSF存在下で培養したF4/80陽性細胞 (M-マクロファージ) 移植による虚血肢の血流改善効果を見出し IL-10の重要性を報告した。現在、続けてIL-10ノックアウトマウスを用いた細胞移植治療の作用機序の解析を進めている。 投与細胞側のIL-10の検討では、野生型マウスの虚血肢にIL-10ノックアウトマウス由来のM-マクロファージを投与した場合、血流改善効果および、血管新生・リンパ管新生効果はコントロールと同程度であった。下肢組織中におけるIL-6タンパクの発現が有意に減少していたことから、投与細胞のIL-10が下肢組織中のIL-6の発現・機能を調節している可能性がある。また、in vitroにおける血管・リンパ管内皮細胞の管腔形成の評価において、血管内皮細胞のみに比べて野生型M-マクロファージと共培養した場合には、血管内皮細胞の管腔形成が増加した。野生型由来M-マクロファージに比べてIL-10ノックアウトマウス由来M-マクロファージとの共培養ではリンパ管内皮細胞の管腔形成が有意に低下した。管腔形成能力にIL-10が関与していることが分かった。 さらに、虚血肢の下肢組織中においてHIF-1aの発現・蓄積についても検討中である。これまで、虚血の条件で発現が上昇するとされているHIF-1aへの影響は全く調べていなかった。移植細胞がないコントロールでは、HIF-1aの発現が一過性に上昇する。しかし、野生型M-マクロファージ投与群では遷延化してHIF-1aの発現が長く続く傾向が認められた。一方、IL-10ノックアウトマウス由来のM-マクロファージを移植した場合にはコントロールと同じ結果であった。移植した細胞に発現するIL-10は下肢組織中のHIF-1aの発現も調節している可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に沿った疾患モデルを用いた検討をスタートできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血肢のマウスの実験結果よりIL-10の機能がわかりつつある。将来的に、病態に合わせたマクロファージの移植治療が可能であるか否か、判断するためにも疾患モデルマウスでの検討を進めたいと考えている。
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