2019 Fiscal Year Research-status Report
Does "humoral anticancer factor" secreted by normal epithelium cooperate with "cell competition" for cancer protection?
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17K18302
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
北河 憲雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40628517)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EDAC / 細胞競合 / 癌 / ケラチン17 / intermediate filament / coculture technique / antimicrobial peptide / necrosis |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞競合は、同種細胞間で高適応度の細胞が低適応度の細胞を排除する仕組みであり、この仕組みの1 つにEDAC(epithelial defense against cancer)がある。EDAC は上皮細胞による同種の上皮由来の変異細胞(癌細胞)の排除機構であり、その過程で免疫系の細胞を介さない。EDACは癌微小環境に関係している可能性が示唆され、癌のgenotype と異なるphenotypeの解明にも繋がる可能性がある。 昨年度に引き続き、癌細胞がEDAC耐性という点からも、多様な細胞集団であることを踏まえ、癌細胞集団と正常細胞集団を一定の成熟後から共培養する方法でEDACの検討を行った。本年度の研究で、先行研究ではあまり注目されてこなかった細胞培養底面の環境がEDACに大きく影響することが明らかになった。すなわち、細胞培養底面の環境次第では癌細胞の排除が起こらず、むしろ癌・正常細胞共培養時の方が、癌細胞単培養時よりも細胞増殖が促進される傾向が観察された。これにより、癌細胞と正常細胞の位置・方向が原因と考えられていた、EDACの変化は細胞培養底面の微細な環境変化が原因である可能性が示唆された。 また、EDACによる排除の対象細胞は必ずしも、癌・正常細胞界面の最前線に位置している癌細胞ではない可能性が示唆された。排除されている癌細胞集団の位置は、癌・正常細胞界面の後方であることが有意に多かった。 底面がない共培養でも、正常細胞集団による、癌細胞集団の一部細胞の排除が観察された。一方でEDAC耐性を持つ癌細胞集団に対しては、底面無培養では有意な癌細胞の排除は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌細胞のEDAC耐性の多様性、培養底面環境がEDACに大きく影響することの2点を解明し、対応する実験系を考案し解析を進めている。 一方で、これらの明らかになった現象を踏まえると、研究成果の公表には予定になかった多面的な経時変化の解析が必須であり、達成度としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
EDACの多面的な経時変化の解析を行う。特に令和1年度に明らかにした、培養底面による違いに注目する。その後、研究成果を取りまとめ公表を行う。
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Causes of Carryover |
実験結果を踏まえた研究計画の変更、学会のweb開催、キャンペーンを利用した消耗品費用の削減により、次年度使用額が生じた。研究成果の公表には予定になかった多面的なEDAC経時変化の解析が必須であり、その費用として用いる予定である。
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Research Products
(1 results)