2017 Fiscal Year Research-status Report
皮膚吸収性物質N,N-ジメチルアセトアミドの取扱い作業者の新規リスク評価法の開発
Project/Area Number |
17K18303
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山本 忍 産業医科大学, 産業保健学部, 助教 (70761469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | N,N-ジメチルアセトアミド / 尿中代謝物濃度測定 / 皮膚吸収 / リスク評価 / HPLC-MSMS / 産業衛生学 / 分析化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、繊維原料などに使用され、取扱い作業者が急性肝炎を発症したN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)取扱い作業者のリスク評価法の開発である。DMACは皮膚からの吸収があることが指摘されており、ばく露評価として体内取り込み量が反映される尿中代謝物濃度測定が有効である。現在、米国が勧告するガスクロトマトグラフ(GC)法による尿中N-メチルアセトアミド(NMAC)をバイオマーカーにばく露評価されている。しかしながら、GC法はGCの注入口温度によりNMACの前駆物質であるN-メチル-N-ヒドロキシメチルアセトアミドが熱分解し、NMACとなることから、測定精度に問題があることが指摘されている。 平成29年度は、申請者らが開発し、投稿準備中であった高速液体クロマトグラフ-質量分析(HPLC-MSMS)法を用いたDMAC尿中代謝物4成分の同時測定法について論文投稿を行い(Yamamoto et al. J Occup Health 2018; 60: 140-147)、精度の高い尿中代謝物測定法を確立した。また、①開発した同時測定法を検査機関で容易に活用できるように、UV検出器を用いた手法を開発すること、②実態調査のためのフィールド調査事業所の確保を計画した。 測定法開発では、UV検出器を用いた測定法の条件検討(移動相条件、分析カラム、前処理手順)等を実施している。分析機器の導入に時間を要したため、測定法の確立には至っていないが、平成30年度も引き続き検討を進める。 フィールド調査事業所の確保については、調査を低コストで円滑に進めるため大学近隣で調査事業所を確保するため産業医等を通じて取扱い事業所へ調査協力を打診しているが調整に時間を要し事業所確保には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
分析機器の導入に時間を要し、平成29年度に計画していた分析法の確立に至っていないため。また、調査事業所の確保にも至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、UV検出器を用いた測定法の開発、フィールド調査事業所の確保を継続して行う。UV検出器を用いた測定法の開発が困難な場合は、申請者らが開発したHPLC-MSMS法を用いてフィールド調査を行い、個人ばく露濃度測定、尿中代謝物濃度測定を実施し、個人ばく露濃度と各代謝物濃度の関連性を調査、解析する。また、皮膚吸収の有無を確認するバッチテストを実施する。調査事業所の確保については、調査可能エリアを広げ、引き続き産業医等を通じ調査事業所を確保し、調査を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、平成29年度に購入を予定していた物品が計画していた価格より安価に購入でき、また、特注試薬の購入をフィールド調査の時期に合わせるため、購入時期を次年度以降としたため。 平成30年度は、ばく露調査での個人ばく露濃度測定、尿中代謝物濃度測定および分析にかかる物品、人件費、調査への旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)