2017 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of Voters' Motivations Using Laboratory Experiments and EWA Learning Model
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17K18308
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Research Institution | Hokkaido Musashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
黒阪 健吾 北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 准教授 (60712049)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実験室実験 / 投票行動 / Finite Mixture Model / 学習モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、投票における有権者の意思決定の特徴を明らかにするために、投票実験および公共財の供給実験における参加者の意思決定の違いを、学習モデルを用いて明らかにするものである。 本年度は投票実験における参加者の意思決定に注目し、①参加者は自分の1票が投票結果を変える確率(Pivot Probability)を信念学習モデル(相手の過去の行動から相手の将来の行動を予想する学習モデル)と整合的に形成すること、②ただし、半数近い実験参加者は信念を用いて計算される「投票からの期待利得」が「投票に必要な費用」を上回るときに投票する傾向にあり、したがって合理的選択論のモデルと整合的であるることが明らかになった。 以上の結果の概要については、平成29年度に地域経済経営ネットワーク研究センター(北海道大学)、Contract Theory Workshop(関西大学)で報告されている。平成30年度には、日本経済学会(兵庫県立大学)、世界政治学会(IPSA:ブリズベン)、アメリカ政治学会(APSA:ボストン)において発表を予定している("Monetary Costs versus Opportunity Costs in a Voting Experiment")。 また、公共財供給実験における参加者の意思決定については、北海道大学において12月6日から15日にかけて実験を実施した。実験の概要については平成30年度に国際財政学会(IIPF:タンペレ大学)での報告を予定している("Endogenous Timing and Income Inequality in the Voluntary Provision of Public Goods")。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有権者の意思決定について、Pivot Probabilityが信念学習モデルと整合的に形成されることが明らかとなったが、投票行動と強化学習モデルとの関係性についてはいまだ検討中である。投票行動と強化学習モデルの関係を明らかにするためにも、新たな実験室実験の実施を急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
投票行動を説明する学習モデルには信念学習と強化学習の要素が混在しており、したがって現段階では際立った特徴を挙げることが難しい。そのため、現在は実験参加者がそれぞれ異なる目的関数に従って行動しているという仮定に基づき、参加者のタイプごとの意思決定についてFinite Mixtureモデルを用いた計量分析を進めている。また、実験参加者をタイプごとに分類し、参加者の目的関数と社会的属性、リスク態度、社会的選好といった項目との関連についても検討している。
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施予定だった実験が延期となったため、謝金として用意した額が執行できなかった。延期された実験は平成30年度に実施する予定である。
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Research Products
(4 results)