2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Introduction of Lecture-Concerts in Modern Japan: From the Viewpoint of a Comparison of French and German Music Policy
Project/Area Number |
17K18313
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
白石 朝子 愛知淑徳大学, 文学部, 准教授 (30758181)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジル=マルシェックス / ジャポニスム / 西洋音楽受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は近代日本におけるレクチャー・コンサート(講演を伴った演奏会)導入の経緯を明らかにすることである。これまで、フランス人音楽家アンリ・ジル=マルシェックス(Henri Gil-Marchex,1894-1970)の論考や演奏活動を中心に、その経緯を示してきた。今年度は、2つの視点から研究を行った。 まず、1925年以前官主導により東京音楽学校を中心に西洋音楽の教授がなされていく一方で、いわゆる専門家ではない日本の聴衆、音楽愛好家を育てるために、どのような働きかけがなされたのかについて検証した。その結果、レコードを用いた田辺尚雄(1883-1984)『西洋音楽講話』(1915)、クレービール著小松耕輔訳『音楽の聴きかた』(1920)、マーカム・リー著・杉浦躬行訳『音楽の一般的知識』(1924)では、聴衆を育てるために音楽鑑賞に必要な知識や理論について説かれていたことが示された。 次に、1931年以降連続した音楽講演がどのように行われたのかを調査した。その結果、1930年代フランスで盛んに行われた講演と演奏による「レクチャー・コンサート」が日本でも紹介されたことが明らかになった。そして、東京音楽協会主催により1934年9月から一年間、月一回のペースで音楽講演会『洋楽講話』が実施されたことが確認された。 これらの内容を検証することにより、西洋音楽導入期の日本で「西洋音楽の聴き方」がどのように変化していったのか、その一端を明らかにすることができた。
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