2017 Fiscal Year Research-status Report
赤血球自己散乱情報に基づく血管内脈動血流動場の定量的可視化
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17K18321
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
経田 僚昭 富山高等専門学校, 商船学科, 准教授 (50579729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | LDV / 血流計 / 広視野 / 末梢部血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は視野拡大Laser Doppler Velocimetry (LDV)の構築、ならびに生体計測分野への適用を行った。そもそも、一点計測という特徴を持つLDVを多点化することで同時性のある流速の空間分布を得ることができる。また、LDVは流速の絶対値計測が可能であることから生体計測に応用することで完全非侵襲計測が可能となる。今年度は一点計測LDVを基盤技術として光学系の改良による多点計測方法の開発に取り組んだ。ロッドレンズやシリンドリカルレンズを組み合わせることで計測領域の拡大を達成できた。 末梢部を対象にした血流計測実験の結果を用いて、微細血管の3次元空間におけるイメージング画像を構築することができた。生体を傷つけることなく血流の様相を観察できる方法であることが示された。糖尿病患者などでは末梢部血管の閉塞が血管組織周囲の神経系の機能不全を引き起こし、小さな傷が生じた場合に自覚症状のないままに重大な損傷に至るケースもある。そのような場合に末梢部血管の血流動態を完全非侵襲で検出できることは閉塞状態を明らかにできる。 代表者が開発しているLDV血流計は血流に追従する個体成分の移動速度が散乱光の信号として取得し、その周波数成分から血流速を推定する方法である。今年度は散乱光のパワーに着目し、その散乱光パワーが血液に含まれる成分に影響を受けることが明らかにされた。具体的には、血液に含まれる成分や血管周りの組織に対するレーザーの波長に対する吸収特性の違いから、水よりもヘモグロビンの方が吸収係数が大きなレーザー波長を用いることで、光吸収により血管部の散乱光パワーが低下することを示した。この結果、レーザーの照射のみで血管の位置特定に関する指標を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視野拡大LDVを構築したこと、LDVの計測原理が血流計として応用できることが確認されたために、おおむね順調に進展していると評価した。今年度の取り組みとして光学系の設計、部品の手配を行い、広視野LDVが予定通り構築された。現在、その視野の広さを評価する手法について取り組んでいる。レンズの配置に対して、拡大されたレーザー光のどこから計測位置として機能するかを客観的指標で定量的に明らかにすることを次の課題としている。
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Strategy for Future Research Activity |
広視野LDVの構築に対し、その視野の広さを明確にすること、ならびに視野の広さをコントロールし、任意の広さを実現することが今後の研究の推進方策としている。血流計に応用する場合に限定された空間での使用が考えられ、また計測対象に応じた計測視野が求められる。光学系の設計段階から、LDVでの計測領域を自在に制御できるような知見を得る取り組みを目指す。
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Causes of Carryover |
LDVの視野を拡大する方法としてレンズ種類や組み合わせを幾つかのパターンを用意するために物品費を計上していたが、既存のレンズの組み合わせで比較的簡易的に計測領域の拡大に成功したことことから物品費の節約ができた。視野拡大に向けて取り組んだ知見は次年度の学会発表で使用する予定である。
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