2017 Fiscal Year Research-status Report
脳血管障害による片麻痺患者の健側肢随意運動に着目した効果的な運動療法の検討
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17K18326
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
高橋 恭平 熊本高等専門学校, 共通教育科(熊本キャンパス), 准教授 (20585492)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 健側随意運動 / 麻痺側運動機能 / 健側支配皮質内興奮性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題初年度となった平成29年度は,脳血管障害により片麻痺を患う被験者自身に対して,従来の作業療法実施前に健側手指において把持運動課題を行わせることで,麻痺側手指に対する作業療法のみの場合以上の手指機能回復効果が生まれるかどうか検証した.さらに,中枢神経系の興奮性評価の出来る経頭蓋磁気刺激(TMS)を用い,リハビリテーション中の神経・筋生理学的な変化も評価することで,メカニズムの究明を行った.協力して下さった脳血管障害を患う被験者は,麻痺側の上肢,手指機能がBrunnstrom stage Ⅳ以上(上肢の回内回外、手指のピンチが可能)で,握力計が握れ,母指と示指でのピンチ動作が可能な方3名であった.全ての被験者について,①通常のリハビリテーション前に負荷(健側最大握力の30%運動強度)のある健側手指の随意的な把持運動課題を行った場合の即時効果と,②負荷をつけない健側手指の運動を行った場合の即時効果を調べた.①と②は3日以上間隔をあけて実施し,その効果を比較した. 負荷有りの健側把持運動終了後の麻痺手指ピンチ力および加速度は,運動前コントロール値と比較して高まる傾向を示した.また,健側手指から二連発TMSにより誘発した運動誘発電位(MEP)から,負荷有りの健側把持運動終了後の皮質内抑制(SICI)が低下する傾向が確認された.従来のリハビリテーション後の中枢神経系の興奮性には一定の傾向が認められなかったが,麻痺手指ピンチ力および加速度はコントロール値と比較して高値を維持する傾向を示した. 今後被験者数を増やし,すべてのパラメータにおいて統計学的に示唆出来るよう励んで参りたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力して下さっている研究機関が平成30年2月をもって閉院したため.
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Strategy for Future Research Activity |
協力して下さっている方の温かいご尽力もあり,倫理委員会の承認および初年度に実験実施までたどり着けた成果がまず大きい.そして,まだ3名のデータではあるが,一定の傾向を示したパラメータもあるので,平成30年度も昨年度同様の実験を続け,データ数確保に努めたい.
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