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2018 Fiscal Year Research-status Report

メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の腫瘍消退機序の解明

Research Project

Project/Area Number 17K18335
Research InstitutionJapanese Foundation for Cancer Research

Principal Investigator

土橋 映仁  公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 研究員 (40772249)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 / 関節リウマチ
Outline of Annual Research Achievements

関節リウマチは、関節の内側の滑膜に炎症が起こり、軟骨・骨が破壊され、日常生活に支障をきたす疾患である。日本では、70万人以上の患者がおり、30-50歳代の女性に多い。関節リウマチの予後不良群に対して、メトトレキサート (MTX) は、第一選択薬として用いられており、多くの患者が使用している。メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD) は、MTX投与中の患者に発生するリンパ増殖性疾患である。病理組織像、遺伝的背景は、リンパ腫組織型と同じであるが、MTXの中止のみで約30%の症例が寛解するという特徴的な経過を示す。これまで、MTXの中止のみで寛解する例 11例と化学療法を必要とした例 16例の合計27例のエクソームシーケンスを行った。MTXの中止のみで寛解する例に関節リウマチと関係の深い遺伝子変異や治療と関連する変異が多く認められた。さらに、MTXの中止のみで寛解する例 7例と化学療法を必要とした例 16例の合計23例のRNAシーケンス、組織型がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である症例を中心にMTXの中止のみで寛解する例 4例と化学療法を必要とした例 4例の合計8例の全ゲノムバイサルファイトシーケンスを行い、EBV感染とメチル化状態の関連も認められた。これらの結果は、関節リウマチなどのMTXを用いる疾患において、治療薬選択の一助となるほか、MTX-LPDの診断時にMTX中止のみとするか、化学療法を行うかを見積もることを可能とし、さらに、MTX-LPDが消失する機序から、リンパ腫の新たな治療戦略につながると考えられる。今後は、これまで検出された変異候補について、検証を進めていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実施計画においては、メトトレキサート (MTX)中止のみで改善した例と化学療法を必要とした例の比較検討を行い、多検体での検証を行うことで、メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD)が消退する機序の解明につなげる方針であった。現在、MTXの中止のみで寛解する例 11例と化学療法を必要とした例 16例の合計27例のエクソームシーケンスを行い、MTXの中止のみで寛解する例に関節リウマチと関係の深い遺伝子変異や治療と関連する変異を多く認めている。また、関節リウマチと関係の深い遺伝子の変異は生殖細胞変異であるかを明らかとするため、腫瘍を含まない検体が得られる症例を用いてシーケンスを行い、変異の違いを検証し、生殖細胞系列であることも明らかとしている。共同研究機関の症例を用いることができるよう準備も進めており、さらに多検体での検証を可能としている。以上から、おおむね順調に進んでおり、これらの変異候補の検証作業を進めていく方針である。

Strategy for Future Research Activity

今後、本研究においては、これまで得られた変異を多検体において検証を行う。さらに、一般的なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)とメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD)の遺伝的背景の違いは認められるか、EBV感染とメチル化状態はどのような関係であるかを明らかとする。つまり、化学療法が必要である例とメトトレキサート (MTX)の中止のみで寛解する例で差が認められた遺伝子変異の検証を共同研究機関の検体を得ることで、さらに多くの症例のシーケンスにて行う。また、臨床・病理学的なデータも用いて比較検討し、違いを明らかとする。これらにより、関節リウマチと関係の深い遺伝子の変異が他のMTXの中止のみで寛解する例でも認められることを確認する。一方で、一般的なDLBCLとMTX-LPDの遺伝的背景の違いを明らかとする。そのため、これまで申請者が解析をしてきたDLBCLのデータを用いて、MTX-LPDのデータと比較する。DLBCLは多様な疾患であることから、多数のデータを必要とする可能性があり、公共データベースにあるDLBCLのデータも用いる。一般的なDLBCLの遺伝的背景との共通点や相違点を探ることで、化学療法が必要である症例の抽出を行う。さらに、EBV感染とメチル化状態はどのような関係であるかを明らかとする。シーケンスにて、EBVの構造やコピー数を確認し、whole-genome bisulfiteシーケンスのデータと比較検討し、EBVがどのようにメチル化状態に関わっているのかを明らかとする。今後は、以上のように研究を進める方針である。

Causes of Carryover

当初の予定通り、メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患のメトトレキサートを中止しただけで消退した例と化学療法を必要とした例の遺伝的背景の比較を行った。しかし、正常部の検体がなく、腫瘍部のみを解析した検体から、生殖細胞系列の変異が疑われるが、病態に深く関わっているのではないかと考えられる変異が検出された。このため、生殖細胞系列の解析も可能となるよう、研究倫理審査を改めて受けたため、時間を要した。次年度において、今回、検出された変異の検証やデータをまとめ論文として投稿する際の投稿費として用いる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results) (of which Overseas: 1 results)

  • [Journal Article] <i>TP53</i> and <i>OSBPL10</i> alterations in diffuse large B-cell lymphoma: prognostic markers identified via exome analysis of cases with extreme prognosis2018

    • Author(s)
      Dobashi Akito、Togashi Yuki、Tanaka Norio、Yokoyama Masahiro、Tsuyama Naoko、Baba Satoko、Mori Seiichi、Hatake Kiyohiko、Yamaguchi Toshiharu、Noda Tetsuo、Takeuchi Kengo
    • Journal Title

      Oncotarget

      Volume: 9 Pages: 19555-19568

    • DOI

      10.18632/oncotarget.24656

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Patent(Industrial Property Rights)] びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の予後予測因子、及び予後予測方法2018

    • Inventor(s)
      土橋 映仁, 竹内 賢吾
    • Industrial Property Rights Holder
      土橋 映仁, 竹内 賢吾
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      WO/2018/212071
    • Overseas

URL: 

Published: 2019-12-27  

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