2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism analysis of chemical mixture effects on the daphnids using gene expression analysis
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17K18344
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡部 春奈 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 研究員 (00620395)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミジンコ / 多環芳香族炭化水素 / 医薬品 / CYP / 等効果線図 / 相加・相殺作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ミジンコの繁殖影響に対し相乗作用が誘導される化学物質の組み合わせ条件の探索を行った。昨年度も検討したPAHsは、魚類等においてはAhR受容体経由で毒性が発現し、CYP1A1によって代謝されるため、CYP1A1の阻害剤であるα-ナフトフラボン(ANF)との組み合わせで相乗作用が生じると考えられている(Billiard et al., 2006; Hodson et al., 2007; )。そこでPAHsのフェナントレンおよびピレンに対し、ANFを組み合わせて等効果線図を作成したところ、相加または相殺傾向が示された。同様に、ゼブラフィッシュの胚仔魚期短期毒性試験において相乗作用を示したβ-ナフトフラボン(BNF、CYP1A1誘導)とANFの組み合わせについても、2物質のTU=各濃度/EC50(50%影響濃度)の和が1になるように、TU換算で、3/4:1/4、1/2:1/2、1/4:3/4と異なる濃度比で2物質を混合して曝露したところ、相加作用に基づく予測値とほぼ一致し、相乗作用は示されなかった。 次に医薬品について、CYPによる代謝とその阻害の組み合わせから、解熱鎮痛剤のイブプロフェン(CYP2C9で代謝)と抗菌剤のスルファメトキサゾール(CYP2C9を阻害)を混合ばく露し、等効果線図を作成したところ相乗作用は示されなかった(相殺傾向)。同様に抗炎症薬のデキサメタゾン(CYP3A4で代謝)とケトコナゾール(CYP3A4を阻害)の組み合わせで相乗作用を期待したが、予備検討では相加傾向を示した。ミジンコが持つCYPの種類は脊椎動物等とは異なり、その機能の類似性は完全に解明されていないことから、期待される効果が得られなかったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
既存文献に基づき、作用機序から相乗作用が懸念される2種の化学物質を様々に組み合わせてミジンコ繁殖試験を実施したが、明確な相乗作用が示されなかったため。また、年度開始以降に発生した業務により、当初予定していたエフォートを割くことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでミジンコ繁殖試験において相乗作用を確認している①銅とカドミウム、②ピレスロイド系農薬のシハロトリンとPBOの組み合わせを対象に、次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子発現解析と、機能未知の遺伝子を含めた発現遺伝子によるパスウェイ構築などのバイオインフォマティクス手法の検討を進める。次世代シーケンサーは外注とする。
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Causes of Carryover |
高額な次世代シーケンサー用の消耗品の購入を想定していたが、次世代シーケンサーの実施まで研究が進捗しなかったため。 来年度は次世代シーケンサーの外注費や研究協力者への謝金支払いに充てる予定である。
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