2019 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism analysis of chemical mixture effects on the daphnids using gene expression analysis
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17K18344
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡部 春奈 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (00620395)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミジンコ / 相乗作用 / 医薬品 / 農薬 / 等効果線図 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ミジンコの繁殖影響に対し相乗作用が誘導される化学物質の組み合わせ条件の探索を行った。医薬品について、CYPによる代謝とその阻害の組み合わせから、抗炎症薬のデキサメタゾン(CYP3A4で代謝)とエリスロマイシン(CYP3A4を阻害)の組み合わせて曝露したところ、等効果線図では濃度比によって相加・相乗・相殺の傾向が異なっていた。エリスロマイシン濃度をIC30付近で一定にしてデキサメタゾン濃度を変化させたところ、等効果線図でやや相殺傾向を示した濃度比でIA法による予測より大きな影響がみられた。このように一定の濃度比においてのみ相乗作用を示す可能性があることに留意しながら、濃度の組み合わせを設定する必要がある。 また、ピレスロイド系農薬のシハロトリンと殺虫剤用共力剤のピペニルブトキシド(PBO)の組み合わせについて、予備試験において相乗作用が示された。PBOはCYP阻害剤であり、CYPによるピレスロイドの解毒を阻害することで相乗作用を示したと推定される。 これらのメカニズムに関する仮説を検証するため、今後は結果の再現性が確認でき次第、適切な条件でミジンコをばく露し、遺伝子発現解析に供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はミジンコに対する化学物質の複合影響メカニズムを遺伝子発現解析によって解明を試みるものであるが、対象とする相乗作用を示す化学物質の組み合わせを発見し、RNA-Seq等の遺伝子発現解析に供するのに適切な条件を確定するのに時間を要したため。 また、年度開始以降に発生した研究業務により、当初予定していたエフォートを割くことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでミジンコ繁殖試験において相乗作用を確認している①デキサメタゾンとエリスロマイシン、②ピレスロイド系農薬のシハロトリンとPBOの組み合わせを対象に、次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子発現解析と、発現遺伝子によるパスウェイ構築などのバイオインフォマティクス手法の検討を進める。次世代シーケンサーは外注とする。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延により延長申請を行い承認された。次年度において次世代シーケンサーの外部委託費として使用予定である。
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