2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of grass utilization technology as a feedstock for small-scale methane fermentation system suitable for rural area
Project/Area Number |
17K18349
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中村 真人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (60414463)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 集落排水 / 資源循環システム / メタン発酵 / 消化液 / 肥料 / 刈草 / ADF |
Outline of Annual Research Achievements |
農村地域で発生する刈草と農業集落排水汚泥を原料とする小規模メタン発酵システムを開発することを目的とする。刈草からのメタン発生量は多く,メタン発酵原料として有望であるが,刈草の種類によってガス発生量が異なる。そこで,ガス発生量に差が生じる要因を解明し,多種多様な刈草のガス発生量を予測できる手法を開発するとともに,刈草の供給ポテンシャルを評価することにより,年間を通じて安定したエネルギーを取り出すことが可能なシステムの構築を目指す。本システムを適用することにより,集排施設の維持管理費で主要な部分を占める,汚泥処理費と電気料が削減されるとともに,農村地域の低投入でコンパクトな資源循環システムが実現できる。 平成29年度は,草の種類,生育ステージの異なる20種類の刈草について回分式メタン発酵試験と組成分析を行った。種菌として用いる消化液に刈草を混合し,中温条件(35℃)で培養した時に発生するバイオガス発生量を測定した。また,メタン発酵過程での肥料成分であるアンモニア態窒素濃度の増加率を評価するため,発酵前後のアンモニア態窒素濃度を測定した。一方,茨城県において畦畔や水路における草刈り作業の状況について,ドイツにおいて草本系バイオマスを原料とするメタン発酵について現地調査を行った。 その結果,刈草,水生植物からのバイオガス発生率は種類により大きく異なり,春夏に採取した草や水生植物からのガス発生率が高く,秋の草のガス発生率が低い傾向が見られた。発酵過程におけるアンモニア態窒素の増加率についても,草種による差が大きく,春夏に採取した草や水生植物からの増加率が高い一方,秋の草ではアンモニア態窒素は増加しなかった。また,草のC/N比とアンモニア態窒素の増加率には負の相関関係が見られた。一方,現地調査より,現地における刈草の刈り取り頻度,処理状況,メタン発酵施設の運稼働状況等を整理できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刈草の入手,メタン発酵試験の立ち上げ等が順調に進み,予定通り,回分式メタン発酵試験により刈草のメタン発酵特性を把握することができた。また,現地調査も予定通り実施できたことがから研究はおおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の前半は前年度から継続して,組成分析と回分式メタン発酵試験を行う。30年度後半からは,代表的な刈草について,実施設の条件に近い,連続メタン発酵試験を実施し,刈草の組成とメタン発生量の関係を明らかにする。また,現地調査により,農村地域の刈草の供給ポテンシャル,農業集落排水処理施設におけるエネルギー利用状況について調査する。最終年度には,得られた成果により,効率的な集排汚泥と刈草の混合メタン発酵システムを提示する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,試料の分析をまとめて行うなど,研究費を効率的に使用して発生した残額である。次年度において,分析する刈草の種類を当初予定より増やし,その分析のための消耗品購入に使用する予定している。
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