2017 Fiscal Year Research-status Report
A hyper-resolution land data assimilation system
Project/Area Number |
17K18352
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
澤田 洋平 気象庁気象研究所, 予報研究部, 研究官 (30784475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | データ同化 / 陸面モデリング / マイクロ波リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は陸域水文モデリングと観測データを融合する陸面データ同化システムを高度化し、空間分解能100mから1km程度の超高解像度陸面データ同化システムの構築を目指している。 平成29年度は陸面データ同化にとって重要な観測である受動型マイクロ波リモートセンシングの持つ性質について、既存の現地観測データ、衛星観測データの解析により、新しい知見を得た。特に陸面の凸凹がマイクロ波放射輝度に与える影響について理解が深まり、既存の土壌水分と植物水分量の推定精度を向上させることができた。結果は2報の論文として出版済みである。 これ以外にも研究代表者がこれまで開発してきた陸面データ同化システムCoupled Land and Vegetation Data Assimilation System (CLVDAS)の応用研究を進めた。具体的には北アフリカにおける干ばつのリアルタイム監視・予測システムの開発、および全球規模の陸域水文・生態系の再解析データの構築を行った。これらの応用研究によって得られた知見をシステム開発にフィードバックし、CLVDASの高度化に役立てた。 CLVDASは空間分解能25kmほどの陸面データ同化システムであり、現状土壌中の水の動きは鉛直方向しか考慮していない1次元モデルである。水平方向の地下水と表面水の動きを陽に考慮し空間分解能100mから1km程度で動作するようなシステムを構築するのが本研究課題の本流である。当初の研究実施計画に沿って、地表面と地下の水の動きを3次元で解くことができるモデルであるParflowにアンサンブルカルマンフィルタを適用し、同化システムを構築した。理想化実験を行い、鉛直1次元の陸面データ同化システムよりも観測の情報をうまく生かすことができることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の本流である陸面データ同化システムの高解像度化については、水の動きを解く部分の開発はできたが、エネルギーや植生動態を解く部分は未完成である。この点において当初の研究実施計画に対してはやや遅れている。しかし、「研究実績の概要」に記述したとおり、超高解像度陸面データ同化システムにとって重要な衛星観測に対して新しい知見が得られたこと、従来型の低解像度のシステムの高度化・改善が進み本流のシステム開発にとっても有用な知見が得られたこと、等を加味すれば、研究実績の総量としてはおおむね順調に進展していると判断できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に従い超高解像度陸面データ同化システムの開発をさらに進めていく。「現在までの進捗状況」で述べたとおり、水の動きを解く部分についてはおおむね開発が済んでいるため、平成30年度はエネルギーや植生動態についても解けるように開発を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初計画では論文の購入を予定していたが、研究代表者の研究機関において定期購読されていない雑誌に出版されている最新の論文の中で、購入する必要性の高いものがなく、執行を控えたためである。翌年度に繰越し、論文投稿料の一部として使用する予定である。
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