2017 Fiscal Year Research-status Report
炎症性サイトカイン受容体を用いた血中炎症誘導・抑制タンパク質の網羅的分析法の開発
Project/Area Number |
17K18360
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川島 祐介 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (30588124)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテオミクス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
血清プロテオーム解析では、血中のタンパク質濃度のダイナミックレンジが非常に広いため、超微量なサイトカインなどのタンパク質を観測することが難しく、炎症関連タンパク質の網羅的分析は現状のプロテオーム解析法では困難を極める。そこで、本研究では複数の炎症性サイトカイン受容体を用いて、様々な炎症誘導・抑制タンパク質を濃縮し、無孔子逆相カラムを用いた高感度な液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)システムによって血中の炎症誘導・抑制タンパク質の網羅的な分析法を開発することを目指す。さらに、開発した方法を用いて血中の新規炎症誘導タンパク質候補を探索し、本法が炎症のメカニズム解明、診断マーカーの開発、創薬の開発などに役立つ分析法であることを実証する。 研究計画の1年目である平成29年度では、血中の炎症関連タンパク質を集めるために、遺伝子組み換え技術を用いてIL1受容体細胞外ドメインとIL6細胞外ドメインそれぞれにHalo tagを融合した発現プラスミドを作製し、動物細胞にトランスフェクションしてタンパク質合成を行った。次に、この合成した複数のHalo-tag融合受容体とHalo-tagリガンドビーズを反応させ、受容体結合ビーズを作製した。さらに、この作製した受容体ビーズが機能しているかを確認するために、この受容体ビーズと血清を反応させ、LC-MSを用いて血清中の既知のインタラクターが濃縮されていることの確認に成功した。これにより、血中の新規炎症誘導タンパク質候補の探索の準備が整ったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度では炎症性サイトカイン受容体を用いた血中の炎症誘導・抑制タンパク質の濃縮ツールの開発を目標にしており、その計画通りに濃縮ツールを作製し、実際に機能することの確認ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に開発した炎症関連タンパク質の濃縮ツールと無孔子逆相カラムを用いた高感度LC-MSシステムを組み合わせて炎症血清から新規炎症関連タンパク質の探索を行う。それにより、新規炎症マーカー候補を提案するとともに本法の有用性を示す。
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