2018 Fiscal Year Research-status Report
Folding-mechanism-based design of self-assembling channel peptides aided by molecular dynamics simulations
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17K18365
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新津 藍 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (10791064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜貫通ペプチド / 分子動力学 / 合成生物学 / タンパク質フォールディング / タンパク質デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、膜蛋白質の折り畳みにおいて最も基礎的なαヘリックスの会合機構を、計算機を用いた動的構造計算と実験により得られる静的構造情報を最大限に活用し解明する。H30年度は昨年度に引き続き脂質二重膜中で筒型8量体構造に会合する新規人工αヘリックスペプチドの会合過程に注目し、ペプチドが水層から脂質二重膜に結合する過程について分子動力学計算を行った。 これまでの計算で得られた、伸長ペプチドが脂質二重膜近傍に配置された状態を初期構造として、レプリカ交換法を用いた全原子分子動力学計算を行った。ペプチドの膜への結合とペプチド同士の会合を観測したが、二次構造形成の解析にはさらなる計算時間と計算パラメータの調整を要する。今後さらに膜に結合したペプチドが膜挿入する過程のSteered MDを行うのと平行してαヘリックスペプチドの再設計・合成を実施し、分子シミュレーションの結果と実験結果の比較を行うことで、新規膜貫通αヘリックスのへリックス-ヘリックス相互作用に寄与するアミノ酸配列の知見が得られると期待される。 上記に加えて今年度は、電位依存性ナトリウムチャネルのポア形成部位をモデルとした膜貫通αヘリックスペプチドと脂溶性アルカロイドの固体NMRによる相互作用解析データを分析し、さらに膜蛋白質-低分子のドッキングシミュレーションを行った。この結果ペプチドの脂質二重膜中での構造が明らかとなり、また脂溶性アルカロイドとの結合部位を同定することができた。この成果をBioorganic and Medicinal Chemistry誌に投稿・発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度中から研究者の産前産後・育児休業のため課題を中断しているが、休業前までは計画していた計算を進めることができた。今年度実施予定であった残りの実験・計算は課題再開後に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの計算結果を用い、レプリカ交換法の計算条件の最適化によりペプチドの膜結合構造を得、ペプチドの膜挿入についてSteered MDを実施する。分子動力学計算と平行して、標的のペプチドのアミノ酸配列を改変したペプチドを設計・合成し、筒形構造形成と膜挿入の有無を円偏光二色性スペクトル、フーリエ変換赤外分光、電気化学実験により確認する。設計したペプチドについて先と同じ分子動力学計算を行い、実験結果と比較して膜貫通αヘリックスの会合に寄与するアミノ酸配列を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は研究者の出産に伴い課題を中断したため予定していた実験や学会発表を行わなかった。課題再開後に当初の計画に沿って使用する予定である。
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