2017 Fiscal Year Research-status Report
がん関連シグナル・ゲノム異常ががん免疫に与える影響の解明と治療への応用
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17K18388
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
冨樫 庸介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (80758326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん免疫 / ゲノム異常 / 非小細胞肺癌 / 体細胞変異数 / EGFR遺伝子変異 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍ゲノム異常が抗腫瘍免疫応答に与える影響として、非小細胞肺癌の代表的なドライバー遺伝子異常であるEGFR遺伝子変異について解析を行ったところ、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌では野生型の非小細胞肺癌に比較して、活性化しているCD8陽性T細胞の浸潤が少なく、逆に制御性T細胞の浸潤が多かった。その原因を探索するためにEGFR遺伝子変異を有する細胞株や野生型の細胞株を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、EGFRシグナル自体がCD8陽性T細胞を浸潤させるようなケモカインを負に制御し、逆に制御性T細胞を浸潤させるようなケモカインについては正に制御していることが明らかになった。マウスモデルでもEGFR遺伝子変異を強制発現させた細胞株では免疫療法の感受性が低下し、EGFR阻害剤で感受性が回復することを明らかにしている。このような逆転した現象が起きる原因として、転写因子に着目して現在解析中である。 また胃癌のコホートを用いて、CD8陽性T細胞の浸潤が少なく制御性T細胞の浸潤が多いような症例についても解析しており、特定の遺伝子異常を同定し現在その機序について解析中である。 また、腫瘍体細胞変異数と免疫応答のかかわりについても上記のコホートを使用して解析しており、遺伝子変異数が増えすぎることで逆に免疫応答が弱くなる傾向にある現象を捉えている。TCGAといった公共のデータベースを用いても同様の解析をしており、その免疫状態に関わるような特徴的なシグナルについて解析中である。同時にマウスモデルで変異と免疫応答の関係についても検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非小細胞肺癌のEGFR遺伝子変異についてはマウスモデルまで終了し、細かい機序の検証を行っている段階である。さらに胃癌についても当初の想定以上に検証できている。また腫瘍体細胞変異数と免疫応答についても、データ解析はほぼ終了し、マウスモデルまで解析中で、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFR遺伝子変異については転写因子の解析を行い、細かい機序を検証する予定である。 胃癌については新たに同定した遺伝子以上について強制発現株やノックダウン株を作成し、in votro, in vivoで検証する予定である。 腫瘍体細胞変異数については体細胞変異をマウスの腫瘍細胞株に入れて、マウスへの生着を観察し、さらに今後、免疫療法の感受性を検証していく予定である。
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Research Products
(10 results)