2018 Fiscal Year Research-status Report
肺神経内分泌腫瘍の遺伝子解析による新しい治療法の探索
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17K18393
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
三好 智裕 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60794485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺神経内分泌腫瘍 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺神経内分泌腫瘍は,定型カルチノイド,非定型カルチノイド,大細胞神経内分泌癌(LCNEC),小細胞肺癌(SCLC)の主たる4組織型に分類されているが,その分子生物学的な発生メカニズムは明らかではなく,新たな治療法の開発には,その解明が極めて重要である.近年私たちは,LCNECおよびSCLCの有望な治療標的遺伝子群を同定するとともに,非小細胞肺癌とLCNECとの混合型LCNECにおいて,各成分を個別に解析する手法を用い,LCNEC成分の由来について遺伝子プロファイルの観点から世界に先駆けて報告した.本研究では同じ手法を用いながら,定型カルチノイド,非定型カルチノイド,および混合型SCLCの遺伝子解析を行い,肺神経内分泌腫瘍の発生機序を体系的に明らかにし,新しい分子標的治療法確立への手がかりを得ることを目的とする. 肺カルチノイド 40例 (TC 29例,AC 11例),NSCLCとの混合型SCLC 26例を対象とし,今年度は,対象症例の抽出,研究用データベースの作成を行った.肺神経内分泌腫瘍計64例についてHE 標本を再度レビューし,WHOの診断基準を満たしているか確認したうえで,年齢,性別,喫煙指数,病理病期,腫瘍マーカー,CT 画像,再発の有無,再発時の化学療法レジメンと効果,生命予後等の臨床因子を抽出した.現在組織マイクロアレイ(TMA)を作成中であり、今後その免疫組織染色および抽出したゲノムDNAのターゲットシークエンスを行うことにより,肺神経内分泌腫瘍の発生メカニズムを解明し,新規治療開発への道筋をつける.以上は,肺神経内分泌腫瘍の分子生物学的な発生機序を解明するうえで効率的な戦略であり,新たな治療法の開発の手がかりになると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 対象症例の抽出、研究用データベースの作成 国立がん研究センター東病院の肺癌データベース(1992 年~2013年 肺癌全体 約14000 例) の中から,肺カルチノイド 40例 (TC 29例,AC 11例),およびNSCLCとの混合型SCLC 26例を抽出し(全て切除例),これら合計64例についてHE 標本を再度レビューし,WHOの診断基準を満たしているか確認した.年齢,性別,喫煙指数,病理病期,腫瘍マーカー,CT 画像,再発の有無,再発時の化学療法レジメンと効果,生命予後等の臨床因子を抽出した. 2. 組織マイクロアレイの作成および免疫染色 肺多形癌のホルマリン固定ブロックより,腫瘍塊を2mm core で棒状に打ち抜き,癌組織の組織マイクロアレイ(TMA)を作成中である.混合型SCLCはNSCLC成分およびSCLC成分より構成されるため,病理専門医の判断のもと,それぞれの成分からTMA を作成している.
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子変異に伴う関連遺伝子の発現の変化を検証するために,作成したTMAの免疫染色を行う予定である.免疫染色の評価は半定量的スコアリングを行い,それらを各組織型別に比較する.また,各種マーカーの発現様式と臨床病理学的因子,予後との関連も明らかにする.さらに,癌幹細胞マーカーおよび免疫チェックポイント関連分子(PD-L1, PD-L2)の免疫組織染色も行い,陽性細胞の分布,局在を明らかにする. さらに,上記で得られた2mm core で棒状に打ち抜かれた腫瘍塊から,癌組織のみを取り出して細かく切断し,ホルマリン固定パラフィン包埋組織 (FFPE) からのゲノム抽出に最適なDNA 抽出キットを用いて,ゲノムDNA を抽出する.DNA は5μgの抽出を目標とする. 先行研究であるSCLCの網羅的遺伝子解析で同定された244の候補遺伝子群によるターゲットシークエンスを行い,このターゲットシークエンスにて検出された変異,異常については適宜サンガー法,FISH等による確認を行う.
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Causes of Carryover |
当初予定していたターゲットシークエンスによる遺伝子解析がゲノム抽出の遅れの理由で行えなかったため,次年度にカスタムパネルを購入し行うこととした.
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Research Products
(2 results)