2017 Fiscal Year Research-status Report
Research on effect of macrophage on liver fibrosis in a mouse model of hepatitis B
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17K18397
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
杉山 真也 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 副プロジェクト長 (20612427)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / ヒト肝細胞置換キメラマウス / 肝線維化 / 単球 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肝細胞置換キメラマウスへHBV感染させることで肝線維化が形成されることを報告してきた。その中で、HBVの持続感染により、TLR4の遺伝子発現が肝臓内の単球で誘導され、TLR4経路の活性化が起きていることを明らかとしてきた。本年度では、(1)TLR4リガンドの探索として、キメラマウスへ抗生物質を投与することで、腸内細菌を除菌し、その肝線維化に与える影響を評価した。その結果、除菌することで肝線維化の進展は、有意に抑制された。線維関連遺伝子の発現も抑制されており、星細胞の活性化も抑制されていた。肝臓内への単球の浸潤量も減少し、単球表面のTLR4分子の発現が誘導されるレベルは低値であった。一方で、血中のHBV量が除菌群で有意に増加していたことから、腸内環境が免疫機能の活性化に関連していることが示唆された。(2)肝臓内マクロファージの肝線維化への関連について解析するために、二光子顕微鏡による観察を実施した。これまでの成果で、BALB/c等で観察条件を決めているため、それをキメラマウスに適応させた。HBV感染キメラマウス肝臓を感染初期から観察することで、単球の遊走と感染場へのリクルートの様子を可視化した。また、肝線維化に対する肝臓内マクロファージの直接的な影響を評価するために、キメラマウスにクロドロン酸を投与することで、単球の除去を行った状態での肝線維化進展を検討した。本観察は、長期間を要するために現在も経過観察中である。(3)肝線維化の病態形成に関わる細胞種を特定するために、患者由来肝臓を用いた1細胞遺伝子発現解析を実施した。外科での切除片から線維化部分の1細胞RNA-seqを実施し、病態形成部位の細胞種をRNAプロファイルから特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って、初年の研究を進めた。シングルセル解析では、技術的な進歩が有り、従来では、細胞100個単位での解析であったが、最大で10000個の細胞を一度に解析できるようになった。その解析技術を本課題に導入することが出来たため、得られたデータが予定以上のものとなり、疾患形成の理解を深めることにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
肝線維化誘導の「前期過程」の解析では、初年度で得たデータと血液検体を用いて、リガンド分子の探索を進める。血中のサイトカインとケモカインの網羅的解析を行なうことで、除菌によって個体内で生じた変化を捉える。肝線維化の「後期過程」解析では、TLR4経路が活性化したマクロファージと相互作用する細胞種の同定と、その細胞種がマクロファージヘ与える影響をin vitro、in vivoで明らかとしていく。その中で、有力な個別の相互作用を取り出し、そのマクロファージの変化を1細胞解析、サイトカインアレイで解析することで、マクロファージの変化を明らかとする。
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Research Products
(2 results)