2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18408
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 磨聖 大阪大学, 核物理研究センター, 特任講師(常勤) (20747109)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞形態 / がん / 光分解性ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの不均一性が治療抵抗性の要因として知られており、細胞レベルでの検査を要するが、その検査法は確立しているとは言えない。既往研究では、光分解性ゲルに包埋培養中の任意の細胞に対して、局所的に光照射することでゲルを分解し、特定の培養細胞のみを取り出して培養可能な細胞分離法の開発をしてきた。一方で、細胞の形態は複雑な細胞シグナルに基づいて変化するため、細胞機能を端的に表す指標として成立し得る。細胞形態を指標とした細胞分離技術の開発は、がん不均一性に対応した検査法に通じるが、細胞形態を指標とするにはエビデンスが不足している。本研究では、光分解性ゲル中で培養した細胞の形態と、がん悪性度の関係を明らかにすることで、細胞形態を指標とするエビデンスを得ることを目的としている。 平成29年度に、光照射による細胞分離技術により樹立した、マウス乳がん細胞をコロニー様形態と顆粒様形態の2種類の形態に分類して得たサブポピュレーション細胞を用い、がん悪性度を比較検討した結果をまとめて国際誌に投稿し、掲載された。その中で、スフェロイド形成能、マウスに移植したがん細胞の腫瘍サイズの増大速度、および転移頻度などのがん悪性度に関わる細胞の機能が異なる旨を報告している。コロニー様形態の細胞は、顆粒様形態の細胞に比べて腫瘍サイズが増大しやすく、転移はしにくい傾向とあった。 継代を繰り返した後にも、上記のような機能をサブポピュレーション細胞が保持し続けるか否かは今後の研究で追求していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究では、当初予定していた計画以上の成果をあげた。しかし、自身の異動に伴う研究環境の変化により、研究環境の整備や実験に使用する細胞材料の移送など、予定外の作業に時間を要した。これらの理由により、研究計画の一部(継代後の細胞機能維持の評価)に関しては遅れが生じている。以上のように、研究成果だけを見るのであれば、当初の計画以上に進展しているものの、来年度の研究計画に多少影響が懸念されるため、概ね順調に進展していると進捗状況を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では動物実験の準備が不十分であり、計画が律速する懸念がある。ただし、この懸念には実験の遂行が不可になるというニュアンスは含んでおらず、研究計画の変更は不要と考えている。当初の計画に沿って研究を進める予定である。
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[Presentation] 三次元培養がん細胞自動選抜システムのための画像情報解析の有効性2017
Author(s)
渋田 真結, 加藤 寛人, 田村 磨聖, 蟹江 慧 , 松井裕史, 金森 敏幸 , 柳沢 真澄, 佐藤 琢, 高木 俊之, 杉浦 慎冶, 加藤 竜司
Organizer
第69回日本生物工学会大会
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