2018 Fiscal Year Research-status Report
Comparative glycoproteomics for elucidating molecular mechanism of cardiac hypertrophy
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17K18414
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡谷 千晶 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (30633648)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心肥大モデル / 比較グライコーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肥大・心不全に至る分子メカニズムの解明は、心不全治療法の開発における重要課題である。糖鎖修飾は、タンパク質の細胞内局在やプロセシングの制御などを介して、タンパク質機能を制御することが知られている。本研究は、肥大状態の心筋細胞において生じる糖鎖修飾の異常と心肥大シグナルとの関連性を探ることにより、心肥大シグナルにおけるタンパク質上糖鎖修飾の意義を分子レベルで明らかにすることを目的とした。 本年度は、まずO型糖鎖グライコプロテオーム解析に向けて作出した、O型糖鎖生合成関連糖転移酵素をノックアウトした不死化ヒト心筋細胞の作出を進めた。その結果、ノックアウトの作出およびクローン化に成功した。 次に、糖転移酵素ノックアウト細胞2種(不死化ヒト心筋細胞、ラット心筋細胞)について、レクチンアレイによる糖鎖プロファイル解析を行った。その結果、タンパク質上糖鎖修飾に予想される変化が生じていることが確認できた。 また、昨年度に見出した、ラット心筋細胞における肥大刺激に伴う細胞疎水性画分の糖鎖プロファイルの変化を検証するため、肥大刺激に伴いシグナルが増加したレクチン(肥大関連糖鎖認識レクチン)を用いたレクチンブロット解析を行った。その結果、肥大刺激に伴い肥大関連糖鎖認識レクチンに結合する糖タンパク質が増加することが示唆された。 現在、グライコプロテオーム解析のための糖タンパク質捕集に使用する肥大関連糖鎖認識レクチンの選出を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度における細胞入手などの遅れの影響、および、肥大関連糖鎖認識レクチンの選出に予定より時間がかかったため、計画していた実験を年度内に十分に行えなかった。一方、糖転移酵素ノックアウト細胞の作出は予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き肥大関連糖鎖認識レクチンの選出を進め、キャリアタンパク質の捕集条件の最適化の後、グライコプロテオーム解析を実施する。また、糖転移酵素ノックアウト細胞に野生株と同様の肥大刺激を加え、肥大マーカーの発現、形態変化、増殖能などを細胞間で比較し、グライコーム解析およびグライコプロテオーム解析に向けて条件を最適化し、解析を進める。
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Causes of Carryover |
昨年度からの影響で、当初の研究計画よりもスケジュールが遅れているため、遂行できなかった実験計画分の研究費を次年度に持ち越すこととした。これらの研究費は、次年度に実施する実験に使用する消耗品(試薬類、プラスチック器具等)に使用する。
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