2017 Fiscal Year Research-status Report
Brain responses to two types of moved experiences
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17K18424
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
森 数馬 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報工学研究室, 研究員 (70754696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情動 / 感動 / 芸術 / 音楽 / 脳 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は実験参加者選出のためのweb調査およびfMRI(functional magnetic resonance imaging, 機能的磁気共鳴映像装置)による実験を行った。最初に当該研究テーマに関連する先行研究を調べるとともに、実験参加者を選出するためのweb調査システムを構築した。Web調査システム上で100名程度の大学生に、音楽によって感動しやすい程度を問う質問紙への回答を依頼した。質問紙の得点に基づいて参加者を選出してから、fMRIでの実験参加を依頼した。fMRI内で好きな音楽を聴取させる実験を大学生10名について行った結果、感動したときに生じる鳥肌感と涙感で異なる脳領域に活動が生じる傾向が認められた。鳥肌感が生じたときの脳活動と涙感が生じたときの脳活動について、機械学習による分類・予測を試みた結果、チャンスレベルを超える精度でどちらの反応が生じていたかを脳活動から予測することができた。このことは、鳥肌感と涙感が異なる脳活動パターンを持つことを示唆する。先行研究では、感動の鳥肌感に関する脳活動のみが計測の対象とされており、涙感のもたらす脳活動については未知であった。本研究の結果から、鳥肌感と涙感が異なる神経基盤を持つことが示唆され、感動に関する脳活動の知見が広まったと言える。加えて、fMRI実験では心拍数などの自律神経活動についても計測を行っており、これらのデータの分析準備を進めた。fMRIデータについてRepresentational Similarity Analysisや深層学習といったより複雑な分析を行うための解析プログラムを準備した。データはパスワードのあるパソコンに保存し、研究代表者以外が見ることができないようにして個人情報を保護する。研究内容を発表する際には、個人が特定できないよう匿名化したデータを使用することで参加者のプライバシーを保護する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施を予定していた研究「鳥肌感もしくは涙感を喚起しやすい参加者の選出」および「好きな音楽による鳥肌感と涙感の脳活動の比較」について、実施することができた。脳活動を比較するためのfMRI実験については、予定人数に達することができなかった。しかし、来年度にスムーズに実験の続きを実施することができるとともに、来年度に実施予定であった脳活動パターンの分類解析を一部検討することができたという点から、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した実験の人数を追加するとともに、準備を進めていたデータ解析を実践する。今後は鳥肌感と涙感という二種類の感動が喜びや悲しみなどの基本感情と異なる脳内表象を持つかについての検討を行う。本年度は実験参加者の好きな音楽を用いて検討を行ったため、実験刺激が個々人でバラバラであったが、実験の統制を高めるためすべての参加者に実験者が選んだ同一の音楽を聞かせて鳥肌感や涙感を喚起させる実験についても実施する。参加者が選んだ音楽による感動の脳活動と、実験者が選んだ音楽による感動の脳活動についての比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
物品費として使用を考えていたもののうち、実験用の高性能デスクトップPCは研究所内のPCでも補えたため必要がなくなった。実験人数が少なかったため、謝金については当初の予定よりも支出額が少なかった。 次年度の金額はおおむね申請書に記載の通りに使用するが、前年度の余った金額と合わせて大容量データ解析用のGPUが使用可能な高性能デスクトップを購入する。1人の実験参加者につき、実験謝金、ネット調査、電極の費用に加えて、個々人の好きな音楽を購入して実験に用いる。
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Research Products
(2 results)