2018 Fiscal Year Research-status Report

Screening of synthetic lethal gene to causative gene of mesotheliomaScreening of synthetic lethal gene to causative gene of mesothelioma

Research Project

Project/Area Number	17K18436
Research Institution	Osaka City University
Principal Investigator	山岸良多大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30793145)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	合成致死 / 悪性中皮腫 / mRNA代謝
Outline of Annual Research Achievements	本研究は悪性中皮腫の原因遺伝子に対して合成致死性を示す遺伝子を探索し、合成致死に至る分子機構の解明と治療標的としての可能性を検討する。現在までに悪性中皮腫の原因遺伝子の一つであるLATS2の合成致死性遺伝子としてエンドヌクレアーゼSMG6を同定している。またSMG6の酵素活性変異体過剰発現でLATS2変異株が致死性を示すことから、SMG6のヌクレアーゼ活性が合成致死性に重要であること確認している。SMG6は、細胞内ではスプライシングのエラー等によって生じた異常なmRNAを分解するNMD (Nonsense mediated mRNA decay)と呼ばれるRNA分解機構において機能することが知られている。そこでLATS2変異を有する悪性中皮腫細胞株に対してNMD阻害剤及びSMG6以外のNMD関連因子のノックダウンを行い、MTT assayを用いて生存率を解析した。その結果、これらNMDの阻害ではLATS2変異株はいずれも致死性を示さなかった。これによりSMG6が合成致死性を示す上で、NMD以外のRNA分解機構が重要である可能性が示された。またLATS2はHippoシグナル伝達系において、YAPやTAZといった転写活性化因子のリン酸化を介した活性調節を行っており、これらが悪性中皮腫の発症・進展に大きく関わることが知られている。そこで、YAP及びTAZが高発現した中皮細胞株に対してSMG6ノックダウンの生存率への影響を解析したところ、TAZの高発現細胞でSMG6ノックダウンにより生存率の低下が認められた。このことからSMG6による合成致死性にはHippoシグナルの中でもLATS2-TAZ経路が重要であることが明らかとなった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 本研究では悪性中皮腫の原因遺伝子の一つであるLATS2に対して合成致死性を示す遺伝子としてエンドヌクレアーゼSMG6を同定している。このSMG6はRNA特異的なエンドヌクレアーゼであり、本研究でもそのヌクレアーゼ活性が合成致死性を示すことに重要であることを確認している。これまでSMG6はNMDと呼ばれるmRNA分解機構で機能するとされ、合成致死性もNMDを介するものと予想された。しかし阻害剤を用いた解析の結果、SMG6はNMDとは異なったmRNA代謝機構で合成致死性を示すことが明らかとなった。また、SMG6による合成致死性は、Hippoシグナル伝達系の中でもTAZを介した経路に特異的なものであり、TAZによって特異的に転写制御を受ける因子が合成致死性を示す上で重要である可能性を示すことが出来た。以上のことから本年度は、概ね順調であるとした。
Strategy for Future Research Activity	上記で述べた様に、LATS2の合成致死性遺伝子として同定されたSMG6がこれまで関連が報告されてきたNMDとは異なるRNA代謝機構でLATS2との合成致死性を示した。そこで、SMG6がNMD以外のどの様なRNA代謝機構に関与するのか検証することで、LATS2と合成致死性を示す分子機構を明らかにする。更にSMG6の酵素活性阻害が合成致死性を示すのか検討するため、SMG6の酵素活性阻害剤を探索し、LATS2変異株に対する生存率への影響を解析する。また予備的な結果ではあるが、肥満誘導性肝がんにおいてTAZが特異的に発現上昇していることが確認され、がんの発症・進展との関連が予想された。そこで悪性中皮腫に加えその他の、TAZを含めたHippoシグナル伝達経路が発症に関与するがん種についてもRNA代謝との関連を解析していく。