2021 Fiscal Year Annual Research Report
A taxonomic study for fragmental fossils of Anura from the Lower Cretaceous Sasayama Group
Project/Area Number |
17K18442
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池田 忠広 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (50508455)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 篠山層群 / 化石 / カエル類 / 遊離骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
現生種を対象とした骨学的研究 前年度までに明らかになっているトノサマガエル個体群の7骨要素(腸骨,仙椎,上腕骨など)の形態測定値から得た比率・曲率等57項目のデータに関し,雌雄間での有意差について統計的に検定したところ,内13項目に有意差,4項目に有意傾向があると判断された.中でも上腕骨と橈尺骨には多くの有意差が認められ,性的二型があると判断された.また,国内種,6科16属33種亜種61個体の上腕骨,腸骨,仙椎に関し,トノサマガエルと同様の項目について計測し,各比率・曲率を求め,科や属間における数値幅を明らかにした.結果,総体として各階級で一定の傾向はみられるものの,項目によっては部分的また完全に重合するため,数値から読み取れる形態をそれぞれ分類標徴として明確に定義することは困難とされる.しかしながら,本研究では種における変異幅や各階級間での違いや類似性の程度が明らかになり,この成果をもとにカエル類遊離骨化石の分類学的帰属を検討した. 篠山層群産カエル類遊離骨化石の分類学的研究 同層から報告されている2種Hyogobatrachus,Tambabatrachus(以下H種とT種)のCTデータを解析し,各遊離骨が再構築され形質の差異が確認されている.当初,これらは同一種の可能性(性的二型や種内変異)が示唆されていたが,現生種の研究成果から,両種間の形態的差異は種内や雌雄間の変異ではなく,異なる分類群間の違いと考えられる.そして,両種の各遊離骨が示す形態情報をもとに,剖出処理が終了した326標本,うち識別可能な形質を保つ236標本について分類学的帰属を検討した.結果,134標本がH種,77標本がT種に分類され,残り25標本は両種と異なり二タイプに区分された.以上のことから,篠山層群のカエル類相は,少なくとも未記載の分類群を含む四種から構成されることが本研究によって示唆された.
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