2017 Fiscal Year Research-status Report
警察組織の非軍事組織化による職員の意識変化:比国を事例として
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17K18448
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
奥薗 淳二 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 講師 (30725289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軍警察関係 / 組織アイデンティティ / 政策移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、調査票の作成に必要な基礎的な研究を実施する計画であった。形式的な実績については、主に以下3点である。 第一に、マニラにおける現地調査を実施した。キーパーソンとなる3名の元長官または長官代行及び教育訓練の責任者にインタビュー調査を実施した。結果として、軍からPCGが分離するに当たって、どのような手続きがなされたのか詳細に把握することができた。また、関係諸規則、内部文書(公にできるもの)等を収集した。第二に、日本関係者への聞き取り調査を実施した。特に、PCGが軍から分離する前の時代にフィリピンに駐在していた元海上保安官の協力が得られ、当時の状況を第三者的な目で観察していた実務家から多くの知見を得た。第三に、平成30年度に実施予定のサーベイ調査について、どのような手続きを取ればPCGの組織的な協力をえられるかサウンディングし、可能性のあるルートを確認するとともに、現長官を表敬訪問した際に、計画の趣旨を説明する機会を得た。 これらの結果明らかとなった事実のうち、計画遂行に深く影響するものは以下の2点である。第一に、PCGが軍に属していた時代にも、PCG職員の資格制度のようなものが存在しており、資格保有者には制服につけるバッジが与えられていたことである。このことは、PCGが軍から分離する前からPCG職員の専門性は組織的に認識されており、それが職員のアイデンティティの源泉となっていた可能性があることを示唆している。第二に、PCG幹部職員の一部には、PCGの主要業務が急激に変化してきたという認識があることである。この変化の認識が職員にも共有されているとすれば、PCG職員のアイデンティティと呼べるものが形成される前に、その源泉が揺らいだ可能性もある。 調査票の作成に当たっては、これらの仮説に踏み込む必要がある。このことが明らかとなったことが、平成29年度の実質的な実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の調査票作成に当たって生じた問題を解消する必要に迫られており、遅れが生じている部分もある。他方で、平成30年度の計画であった基礎的事項の報告については、平成29年度に実施できた部分もある(原稿は書籍の記事として出版社に提出済み。研究発表の入力は校正が完了する平成30年度とする)。よって、概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査票の完成とサーベイの実施を急ぎ、平成31年度は当初から成果の公表に向けた準備に専念できる体制を整える。
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Causes of Carryover |
予定していたパソコン等の物品の購入を次年度に持ち越したこと及び、海外出張を平成30年度に2度計画することとしたため旅費の使用を抑制したため。
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