2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research for social ethics concerning environmental determination of "ageing" and norms of well-being cities
Project/Area Number |
17K18455
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
見附 陽介 北海商科大学, 商学部, 講師 (10584360)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 建築学 / 障害学 / 老年学 / 社会学 / 福祉 / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(A):「老い」が生物学的な絶対的プロセスではなく、身体を取り巻く環境との機能的関係性によって社会的に構成されるものであることを解明すること、そして他方で、(B):解明された見地から今日われわれが依拠している社会規範をもう一度問い直し、高齢化社会においてあるべき福祉都市の規範を基礎づけること、の二点にある。 本年度の研究としては、(A)に関しては、身体と環境の機能的関係に即した「老いの社会的構成」の問題にアプローチし得る一つの理論的枠組みとして環境老年学の成果を広く調査・研究した。環境老年学の研究領域も多岐にわたるが、とりわけ身体と環境の機能的関係を分析する視野としていわゆる「老化の生態学モデル」に着目し、本研究課題の観点からその理論的枠組みとしての可能性を検討した。 (B)に関しては、本年度はポストモダニズムの建築思想に大きな可能性を認め、研究を行なった。ポストモダニズムの建築思想においては広く近代都市とその空間を作り出す規範に関する研究が行われており、いわば都市の論理がモダニズム建築の思想のもとに形作られることが明らかにされている。とりわけ本年度はクリストファー・アレグザンダーの建築思想に着目し、モダニズム建築の規範を超え、なおかつ脱構築的なポストモダニズムの記号論的アプローチの限界をも乗り越えた新しい都市の規範理念の可能性を探った。 (A)(B)の研究に共通して見出されるのは生態学的アプローチの可能性である。「老いの社会的構成」のメカニズムが生態学的に解明され得るのと同じように、そこにおける問題の解決のための規範もまた生態学的な全体性の思想として理念化される。この分析と規範の両者における共通の土台の発見を持って、本研究は一つの成果にたどり着いた。
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Research Products
(2 results)