2022 Fiscal Year Annual Research Report
Formation and Development of Saint Shrines and Public Cemeteries in Shiite Islamic Societies
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17K18456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守川 知子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00431297)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 墓 / シーア派 / 死生観 / イスラーム / 都市 / 地理空間情報 / 聖者廟 / 移葬 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる本年度は、イスファハーンの一般墓地と聖者廟の立地について1924年の地図を用いた分析を行い、主催した国際研究集会Echoes from the Medieval West Asian Cities(東京大学、3月4日)にて、“Mapping Medieval Isfahan: Urban areas, minarets and cemeteries”と題して報告し、また、「イスファハーンの聖者廟:1924 年市街図の「イマームザーデ」の分析を中心に」(新学術領域研究2022年度研究成果報告書『都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究5』201-222頁)として発表した。 5年間にわたる研究期間全体では、イランのシーラーズとイスファハーンで歴史的な一般墓地や聖者廟を中心に重点的に現地調査を行い、とりわけイスファハーンについては、「イスファハーンの歴史的墓地にみる都市と墓地の空間構造」(新学術領域研究2021年度研究成果報告書)および上掲の「イスファハーンの聖者廟」に結実させることができた。一方、シーラーズについては、調査の過程で、個人蔵の未公刊資料Daftar-i Raport-i Ghassal-khana-yi Shiraz(シーラーズ死亡埋葬台帳)を閲覧する機会を得、同台帳に記載される1920年代の約1000名の死亡者の名前・居住街区・墓地・死亡診断医・葬儀場所等について、データベース化と数量分析を行った。都市空間上の、聖者廟と墓地と街区の相関関係が明らかとなるこの成果については可及的速やかに発表したい。 また、アルダビールのサファヴィー王家の祖廟を対象に、聖者廟の都市空間構造内での特性について検討し(「聖都アルダビールとサファヴィー朝下のサフィー廟」(『アジア・アフリカ言語文化研究 別冊』1、2022年)、さらに、シーア派社会特有の「移葬」について、世界最大規模の墓地を擁するイラクのイマーム廟へのシーア派巡礼および移葬を考察した(「隔離される巡礼者たち:シーア派聖地巡礼と検疫制度の近代」『歴史学研究』1011、2021年)。
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