2020 Fiscal Year Research-status Report
「災害文化学」の構想~東日本大震災後の文化実践を事例に~
Project/Area Number |
17K18467
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
日高 勝之 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00388787)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 福島原発事故 / メディア / ジャーナリズム / 言説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に東日本大震災、福島原発事故に関するメディア文化状況の記録と検証を試みるものである。メディア議題の観点から見るならば、当初は、東北地 方太平洋沖地震により引き起こされた被害が広範に語られたが、大地震および原発事故の発生から月日が経過する中で、メディア・言説空間では、原発エネル ギー政策のありようへの関心などから、引き続き原発に関連する議論が議題化されてきた。当該年度は、主に福島原発事故、原発・エネルギー政策についてのメ ディアの議論と表象について多角的な実証研究を実施した。福島原発事故は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響により発生し た。福島第一原子力発電所における炉心溶融(メルトダウン)などの一連の放射性物質の放出による環境、食品、人体などへの影響、多数の住民の避難、社会 的・経済的影響、さらには風評被害に至るまで、その影響は依然として計り知れないものがある。そのため、昨年度は、主に福島原発事故にかかわるメディア、 ジャーナリズムの議論を概観しつつ、「3.11」後の状況を総合的に検証する試みを行った。研究成果の一部は、著書によって発信した。特に今年度は、東日本大震災、福島原発事故から10年の節目を迎えるため、これまでのメディア、ジャーナリズム、言説の変容についての俯瞰的な整理に傾注した。合わせて、2020年から世界のみならず日本でも進行しているコロナ禍そのものについての調査も並行して進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災、福島原発事故を扱うメディア、文化に関連するものは膨大な数に上ると共に、コロナ禍が重なり、調査に支障が出ると共にコロナ禍そのものも関連研究対象となるため、調査に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災、福島原発事故、そしてコロナ禍、さらには日本の近現代史の多様な災害、カタストロフィ、惨禍、事件・事故を歴史的かつ俯瞰的に検証することを予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続いているため、予定通り調査を進められなかった。次年度は、出来うる限りの調査を実施する予定である。
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