2017 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory Research on the Reception of Old Norse Mythology in Japanese Manga Media
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17K18482
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 盡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (80338011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 涼 福井県立大学, 学術教養センター, 講師 (40733150)
杉本 B.Jessica 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60434750)
井口 篤 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (80647983)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | データベース構築 / データ収集 / 漫画現物回覧 / アイスランド大学 / シンポジウム計画 / 講義実施 / 海外評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度研究成果は以下のとおり:目標1:「世界中の研究者等が利用できる北欧神話受容データベース構築」については、データベース作成用ソフトウェアの購入、データ項目の入力を開始した。9月28日(木)の第1回ミーティングにおいて、役割分担の確認、2018年アイスランドでの国際サガ学会開催に合わせ、アイスランド大学でのシンポジウム開催、データベース内容が決定された。研究活動の方向性を一致させる意義があった。龍谷大学での第2回ミーティング(11月4日(土))では、シンポジウムの打合せ、研究活動計画が決定した。研究内容について詳細に検討され、漫画現物の回覧を行った。データベース化への問題点が明確となり、データベースの閲覧環境の具体的なイメージを固められた点が重要な成果であった。11月5日(日)に京都国際マンガミュージアムにおいて画像撮影と情報収集を行った。これまでになく重要な情報収集ができ、意義深い活動であった。 目標2:「資料収集と整理」について、現在収集画像は100を超えている。データベース用データへの置換前のリスト状態にある。これまで省みられなかった学問的資料・情報が蓄積されつつある。 目標3:「文献学的、歴史学的、メディア論的、比較文学的分析」については、データ画像収集の際に収集者が記載する註を共有することで、各研究分担者の考察の一助としている。本研究に基づき、2018年3月6日(火)アイスランド大学中世学科の主催で、ハラルドゥル・ベルンハルズソン博士の司会により研究代表者が講義 ‘Japanese Reception of Old Norse Mythology’を行った。質疑応答はその後のレセプションまで続いた。また8月に本研究プロジェクトの報告会が催されることを告知し、興味を持つ大学院生や研究者が詳細を尋ねてきた。本研究の重要性が海外で高く評価されることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況としては、 目標1:「世界中の研究者等が利用できる北欧神話受容データベース構築」については、公開用のソフトウェアあるいはクラウド使用権の購入を2018年度に行う予定であり、5月の連休明けに行う予定で、現在購入手続きを進めている。購入後は、ファイルデータの共有が今までよりも容易になることが見込まれている。 目標2:「資料収集と整理」については、おおむね順調に進行している。画像の収集は既に100を超え、その整理に追われる状況である。データベース用ソフトウェアへのデータの置き換えが今後の課題である。現在収集している画像データのリストをデータベースへの置き換えをする作業は、一度始まればすぐに置換出来る模様だが、そのリストの製作が画像データよりやや遅れているものの、1ヶ月以内に追いつくことは可能な状況である。収集は順調だが、整理が遅れている、とまとめられる。 目標3:「文献学的、歴史学的、メディア論的、比較文学的分析」については、シンポジウムの開催に向けて、6月のミーティングの予定を当初の計画通りに進めている。文献学的な研究の一部として、明治期の東京帝国大学における北欧文学教育の実情の調査が目下の課題であるが、東京大学での現地調査の実施に向けて様々な予定を調整中である。また5月には研究分担者松本涼がドイツにおいて講義を行うことで、研究の一部をまとめられた。今後の情報共有が見込まれている。以上、文献学的、歴史学的、メディア論的、比較文学的分析については、現在進行中であり、そのまとめに向けて急ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
8月にアイスランド大学で行われる予定のシンポジウムでの成果発表が目下の目標である。この成果発表は、同時期に開催される国際サガ学会と開催時期が重なることで北欧神話の文献学的研究と受容研究の研究者が多く聴講することが見込まれている。また、同大学の日本研究者も大いに興味を示しており、メディア研究ならびに比較文学研究者との情報交換が期待されている。 本シンポジウムでは、本プロジェクトの研究発表に加え、日本人漫画家幸村誠が日本での北欧神話を漫画に取り入れる意義や作家としての考えを語り、またデンマークの漫画Valhallaシリーズの共同作家のひとりヘンニング・キューレが北欧神話研究者としてシンポジウムに参加し、アイスランド大学の北欧神話受容研究の著作を発表したヨーン・カール・ヘルガソン博士も主催者のひとりとして参加する。これにより、本研究プロジェクトが日本国内に留まるものでなく、国際的な研究領域の中に認められ、貢献することが期待されている。 本研究は、シンポジウムに於いて構築途中のデータベースの見本を示すことで、そのデータベースが国際的に広く利用され、世界的に貢献できる下地づくりを行う。また日本の漫画が持つ文化的意義を改めて認識する契機とし、本プロジェクトが行う萌芽研究が、更に発展するための方向性を探る機会ともする。 このシンポジウム終了後は、さらにデータベースの構築を進めるとともに、このデータベースに基づくどのような研究の発展が見込めるかを、研究分担者それぞれの専門領域から発表し、研究結果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトの計画したデータベース・サーバーのソフトが2018年度にアップデートされ、より広い利用者に公開できるようになるとの情報があったため、平成29年度に計画していたソフトウェア購入を見合わせたため。 その余剰分は、次年度にアイスランドへの出張費ならびに滞在費が計画より高額になることが見込まれるため、そちらへの充当金とし、その一方でヴァージョンアップされたデータベース・サーバーソフト「ファイルメーカー17」を平成30年度に購入する予定である。
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Research Products
(3 results)