2018 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory Research on the Reception of Old Norse Mythology in Japanese Manga Media
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17K18482
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 盡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (80338011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 涼 福井県立大学, 学術教養センター, 講師 (40733150)
杉本 B.Jessica 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60434750)
井口 篤 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (80647983)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | データベース構築 / 北欧神話研究者ネットワーク / マンガ受容研究 / 国際学会発表 / 海外評価 / 海外講演 / シンポジウム開催 / 論文集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関する、過去2年間の研究業績概要は以下のとおりである。①研究者会議(3回)、②研究代表者の研究報告(3回)、③研究分担者による研究報告(1回)、④研究組織全体による国際シンポジウムの開催(1回)。 ①研究者会議は2017年9月28日(Googleハングアウト)、2017年11月4日(龍谷大学深草キャンパス和顔館)2018年6月23日(東洋大学)に催され、研究の目標設定(第1回)、進捗状況報告と研究方法の共有(第2回)、2018年度の国際シンポジウムに向けての打合せ(第3回)を行った。 ②研究代表者は、この研究の成果を3回に分けて、国際発表の場で報告した(1)アイスランド大学中世学科主催講演会(2018年3月6日)、(2)国際アイスランド学会での研究発表 (2018年8月17日)、(3)ロンドン大学ユニヴァーシティ・コレッジ中世北欧学科主催講演会 (2018年12月13日) ③研究分担者のひとり松本涼(福井県立大学)は、ドイツのグライフスヴァルト大学主催の連続講義の1人として招聘され、講義を行った(2018年5月2日)。 ④本研究プロジェクト組織は、2018年8月16日、アイスランド大学人文学部主催、日本語学科共催「マンガの力 (Magnad; Manga)」において、研究代表者の司会・紹介、杉本=バウエンス・ジェシカ 、松本涼 、井口篤が研究発表を行うシンポジウムを催した。 ②、③,④は、海外での研究成果発表として、北欧神話研究者ネットワークから高い評価を得ている。一方、研究の最終段階であるデータベースは、ソフトウェアの更新とファイリング整理遅れにより未公開の状態である。現在研究支援期間の延長が認められており、ソフトウェアのアップデートに合わせたデータの公開を行う予定である。口頭での研究成果の発表内容は、アイスランド大学の出版する論文集で活字化する計画がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、本研究は支援期間の延長にあり、2019年度中に最終段階である研究成果の出版とデータベースの公開という2つの研究成果を果たすことが目論まれている。以下、進捗状況と遅れの理由を3点記す。 出版の遅れ:出版に関しては、予定していたアイスランド大学における論文集の投稿締切と査読期間が、日本の年度制度とずれていたために生じた遅れである。したがって、既に完成している原稿によって投稿することで、今年度中に査読ならびに掲載許可を得られるように、アイスランド大学ベルンハルドル教諭と連絡をとっている。 データベースのファイリングの整理の遅れ:収集した漫画作品は42作品。収集した画像は200件を超え、今後も増える目算である。それらの整理とデータベースへのファイリングに当初の予想以上の時間がかかっている。これは、収集した画像一枚一枚に解説をつけるべきか、数枚連続した画像データを整理する場合、予期しなかった弊害が生じたためである。連続した画像への書誌事項・解説事項を記入する場合、すべてをまとめて行うべきか、数枚をまとめて1つのデータとして記述を行うべきか、判断に迷う資料が多数発生したのが原因である。 データベースアップロードの遅れ:データベース用のソフトウェアの大きなヴァージョンアップがあったことは予期していなかったことである。これはデータベースとして活用するにはより便利な環境へと改良が行われたためであった。したがって、至急、最新のソフトウェアを購入し直し、データの公開を急ぐことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の遅れである、出版とデータベースの公開のためのファイリングの整理を急ぐ必要がある。活字論文の出版とデータベースの公開を果たすことで、このプロジェクトは一応の目的を果たすことになるが、本研究から見えてきた今後の研究の課題と方向性について、以下に記す。 今回のプロジェクトと、海外での北欧神話研究者ネットワークの中で、本研究の意義深さと価値の高さが確認された一方、以下の3点を踏まえた議論を展開する必要が明らかになった:①西欧の北欧神話受容との共通性と差違について、西欧における研究は急速に進んでいること。②映画やゲーム、ドラマなど、現在視覚メディアは急増しており、それらについての研究も急速に発展してきていること。③同じ西欧でもヨーロッパ各国の違い、また欧州と北米との違いについて研究が細分化していること。この必要を充たすため、今後は以下の3点の研究推進方策を掲げる:①西欧における受容の歴史と特性について理解し、それらと比較するように研究の方向性を修正する。②北欧神話受容を行ったメディアをマンガという二次元の静止画像だけに留まらず、広くポピュラー・カルチャーの場面に展開することも視野に入れる。③マンガ・メディアによる北欧神話受容は今後も続くであろう日本と、その日本のマンガに影響を受けたアジアの他国の動向へも研究範囲を広げる可能性を検討する。 そのときに課題となるのが、ミックスメディアの素材に関する研究方法の検討であり、これはメディア研究者との連携や協力を必要とすることを示唆するものである。今後のプロジェクト研究は徐々に他分野の研究とのさらなる領域横断的な体制を取る必要がある。 いずれにしても、この研究は現在挑戦的萌芽研究の段階ではあるが、そこからさらに基盤研究へと発展させる余地が大いにある研究分野だということが、今回のプロジェクトから浮き彫りになったことは大きな成果である。
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Causes of Carryover |
データベース公開用のソフトウェアが研究期間末に急にヴァージョンアップされ、データベース公開には便利になった反面、これまでとは異なる操作が求められるようになった。研究代表者は、それを用いて公開が期間内に完遂出来る見通しが立たなかったため、予算を残すことで、そのソフトウェアを購入し、改めて作業を行う必要を充たすこととした。 次年度は、その予算を利用して最新ソフトウェアを購入し、データベースの公開にあてる。また、論文集として出版するための予算(英文チェック)、資料追加購入に予算を充当することを計画している。
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Remarks |
(5)はグライフスヴァルト大学のサイトだが、Storyboards: Borderland” Baltic Borderlands Lecture (SoSe 2018)というタイトルバーをクリックすると松本涼の講演タイトルと要旨がポップアップされる。
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Research Products
(16 results)