2021 Fiscal Year Annual Research Report
Seeing off endangered languages and selecting a langauge in deathbed
Project/Area Number |
17K18486
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30249940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 理惠 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00368507)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 危機言語 / 言語の看取り / 看取りの言語 / 悲嘆の表現 / D.H.ロレンス / E.ブロンテ / 言語の選択 / 二言語併用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、Covid-19流行のため2年間の研究期間延長があったが、2021年度、概ね研究内容を終えた。今年度は感染症拡大期の間隙を縫って、関連の科研費プロジェクトと共催でシンポジウム「言語・人間・文化の「生態」生老病死のその先へ」(札幌市内、11月27日)を開催した。本研究課題の核心にせまるシンポジウムとなった。特に既に日常の言語使用としては危機的状態にあり、復興を考える段階にあるアイヌ語の研究者に基調講演を依頼し、これに合わせて国内外の危機言語の現在の状況のみならず、二言語使用や言語文化が人間に及ぼす諸相について、活発な議論が交わされた。藤代はシンポジウム全体の企画を行い、山内はオンラインにて、特に西洋文化圏において古語の果たす役割を指摘するなど、ディスカッションに活発に参加した。 今年度は、研究代表者の藤代は主にシベリアの少数民族言語の看取りを見据えた言語生態について国際学会(オンライン)を含む研究会などで発表を行い、研究分担者の山内は、引き続き、D. H. ロレンスとエミリ・ブロンテが共有する死への恐怖について研究を進めた。一例を挙げれば、ブロンテの『嵐が丘』とロレンスの『カンガルー』に見られる「死の床にある登場人物の言動」を再度取り上げてその酷似していることを分析した。また、ブロンテが『嵐が丘』で多くの登場人物を「肉体的に殺す」一方で、ロレンスは『カンガルー』や “Jimmy and the Desperate Woman”などの作品でむしろ「生きながらの(つまり、精神的な)死を描く」点に着目し、ブロンテとロレンスの両者が死を意識しつつも、作品における表現方法が異なることを考察した。 本研究課題はパイロット的な性質をもつ研究であったが、上記のシンポジウム報告を含め、来年度を目処に研究成果を論文などの形で公刊していく予定である。
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Research Products
(4 results)