2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18489
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
高野 愛子 大東文化大学, 外国語学部, 助教 (30771159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 圭介 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (10319014)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 文体差 / レジスター別 / 学術的文章 / レポート / 論文 / 運用 / 認識 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は当初の計画をもとに、以下の調査・研究を行った。 1 2017年10月16日~2018年2月3日、国内の大学等6機関、海外の大学3機関に所属する大学生;計200名(日本語学習者176名・日本語母語話者24名)を対象に、レポート・論文の文体に関する認識度・運用状況を測るため、「文体差のある類義表現に関する認識調査」・「レポートしての作文執筆調査」を行った。 2 「文体差のある類義表現に関する認識調査」に関し、回答のデータ分析を行った。この結果は、2018年8月に開催される日本語教育国際研究大会において口頭発表の予定である。 3 「レポートしての作文執筆調査」で得られた作文200編に関し、原稿用紙に書かれた作文のテキスト・データ化を行った。今後のデータ分析に用いる予定である。 4 収集した計200編の作文から、母語・日本語能力・専門分野を考慮し50編を抽出したうえ、大学教員24名に同じ50編の添削を依頼した。目的は、大学教員に提出する「レポート」として適切な表現かどうか、どのような表現が対象になるかを抽出するためである。また、個人の語感により幅があることが想定されることから、24名の教員による判断基準の共通点と相違点を分析するためである。添削は、レポートの文体として不適切であると判断した表現を指摘した上、「代替の表現を示す・追加する・削除する」という方法による。今後、その共通点と相違点が一覧できるシステムを構築し、不適切だと判断される運用傾向のある表現を抽出する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の大学等6機関・海外の大学3機関に所属する大学生(日本語学習者176名・日本語母語話者24名)計200名に対し、学術的文章(レポート・論文)のレジスターにおける認識度・運用状況の調査は完了したが、当初予定していた12月末の時点で目標の200名に達しなかったことから、調査期間を翌年2月初めまで延長した。 それにともない、運用状況として調査した「レポートしての作文」に対する大学教員による添削調査の時期を変更した。当初は1月中に依頼し2月末に完了予定だったところ、2月中に依頼し締め切りを3月末に変更したため、現在は添削調査が完了し添削状況の分析準備が整った状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の要領で研究を推進する。 1.大学教員による添削状況(24名×50編=計1200編)を分析・一覧できるようなシステムを構築する。 2.そのシステムにより、添削状況を質的・量的に分析し、学術的文章(レポート・論文)というレジスターにおいて、不適切だと判断される傾向のある表現を抽出する。 3.そのなかでも頻度が高い表現に関し、その類義表現の文体的な特徴を、大規模コーパス・研究論文の用例分析からレジスター別に探り、日本語学習者・教員にとってわかりやすい形で示すことを試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた認識度・運用状況の調査が12月末の時点で目標の200名に達しなかったことから、調査期間を翌年2月初めまで延長した。それにともない、大学教員による添削調査の締め切り時期を当初の2月末から3月末に変更したため、2017年度の繰越金は、この添削調査への支払い報酬に用いる。さらに、2018年度は「大学教員による添削状況」のシステム構築への経費、国際学会発表への経費等に用いる。
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