2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of original Japanese names of human body and physical concept of the ancient Japanese
Project/Area Number |
17K18497
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Research Institution | BIWAKO PROFESSIONAL UNIVERSITY OF REHABILITATION |
Principal Investigator |
野田 亨 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (50156204)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 身体語 / 大和言葉 / 医学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は古代日本語での身体名称を明らかにし、現代の解剖学に照らして、その語彙を身体の各部位に対応させることを目標としてきた。すなわち、古代日本人が外来のいわゆる漢方医学からの影響を受ける以前の大和言葉による身体表現を残された文字資料から収集し、そこから古代日本人の身体観を考察するということである。本研究課題の最終年度である2022年度の研究実績は学会発表2件と論文1編であった。学会発表の1は、鎌倉時代に書かれた仏教書である正法眼蔵に表れた大和言葉による身体表現を収集したものであるが、この書が仮名書きされているという点に着目し、当時の大和言葉による身体名称を直接、知ることができる資料として、また身体語の歴史的変遷を考察する上でも意義深い。学会発表の2は、研究当初から研究最終年度に予定していた内臓の名称に関する発表である。各内臓の名称を古辞書に表れた漢字の訳から大和言葉による表現を器官系という視点から収集、分類した。さらにこの研究を通じて、「キモムカフ」という万葉集の枕詞を内臓が外界の刺激を受け、心臓や精神としての心に作用する一連の流れと捉えた一解釈を提示した。論文は、これまで発表した上肢、下肢の内容を厳密に捉え直し、頭部も含めた骨に関する大和言葉を古辞書に表れた漢字の訳から約120個の骨の名称を収集し、考察を加えたものである。 2017年に開始した今回の研究課題は、新型コロナウイルスの蔓延によって想定外の研究の遅滞を生じさせてしまったが、研究期間延長が承認されたことで、ほぼ当初の目的の大半は達成できたかと思われる。本研究は、古代日本人が名付けた身体名称がいかなるものであったかを確かな文字資料に基づき、客観的な解剖学的視点から明らかにしたという意義は大きいと思われる。この研究は解剖学と身体語彙研究を結びつけるもので、研究成果は古典資料の解釈にも新たな視点を提供すると期待される。
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Research Products
(3 results)