2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of the new study method for pottery by the volcanic glass analysis
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17K18507
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
関根 達人 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00241505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 正敏 弘前大学, 理工学研究科, 客員研究員 (80125442)
石田 智子 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (40624359)
小山内 康人 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (80183771)
山極 海嗣 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (80781202)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 縄文土器 / 胎土分析 / 火山ガラス / EPMA / LA-ICP-MS / 土器編年 / 十和田火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
縄文時代にしばしば大規模な噴火活動が見られた十和田火山の周辺から出土した縄文土器を用いて、土器の製作年代は胎土中に含まれる火山ガラスが降下した時期より新しいという原理に基づき、新たな土器編年研究の可能性を検討した。その結果、縄文早期の土器型式の一部に関して、十和田八戸市火山灰(約15,500年前)・十和田二の倉火山灰(約14,300~11,700年前)・十和田南部火山灰(約9,200年前)との年代的関係を押さえることができた。 鹿児島県立埋蔵文化財センターから提供をうけた鹿児島県本土部(薩摩半島・大隅半島)および島嶼部(奄美大島)の各遺跡出土の縄文時代~古代にかけての資料42点に関し、土器の観察、実測、写真撮影を行い、考古学的基礎情報を記録した上で、縄文晩期~弥生前期の土器13点に関して、胎土をX線分析顕微鏡によって測定した。測定結果は、後続の追加測定データを併せて統計解析する。 これまで電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により胎土中の火山ガラスの化学組成を測定してきた北海道の道央および道東、青森県内の遺跡から出土した縄文土器について、胎土に含まれる火山ガラスの希土類元素組成をレーザー溶出型誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)を用いて分析した。その結果、遺跡ごとに含まれる火山ガラスの希土類元素組成のパターンに違いが見出されたことから、土器の材料となった粘土の採集が遺跡周辺でそれぞれ行われた可能性が高いとの見通しが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間の2年目が終了した現段階で、本研究の3つの柱のうち、①土器の移動(搬入・模倣)に関する研究と②土器の編年に関する研究に関して、研究成果を論文や研究発表で公開できた。また残る③土器製作の技術的研究についても、①・②の研究過程で方向性が見えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる2019年度は、土器製作の技術的研究に関して、青森県内から出土した縄文前期から晩期の土器に含まれる火山ガラスの在り方から、粘土の採集や胎土の調合の仕方が変化した時期を特定するとともに、その社会的背景を考察する予定である。 2018年度に分析試料の考古学的検討とX線分析顕微鏡を終えた鹿児島県本土部(薩摩半島・大隅半島)および島嶼部(奄美大島)出土の土器に関して、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)ならびに希土類元素組成をレーザー溶出型誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)を用いた分析を行い、それそれの分析結果を照合し、研究方法と分析から導き出される結果について総括する予定である。 2018年度に始めた希土類元素分析を用いた研究の可能性について検討を進め、本研究終了後の後継研究について計画を策定する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度(2018年度)に津軽海峡を挟んだ北海道と本州との間での土器の移動や模倣の実態解明を目的として、北海道内で胎土分析用試料を得るための発掘調査を予定していた。しかし当初予定していた遺跡の保存状態が予想以上に悪く、新たに遺跡を探す必要が生じた結果、冬期間に入り年度内に発掘調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2019年度にはすでに5月に北海道松前町で胎土分析用試料を確保するための発掘調査をすることが決定しており、最終的には計画通りの予算執行ができる見通しが得られている。
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Research Products
(3 results)