2017 Fiscal Year Research-status Report
16世紀末から18世紀前半の内陸地震研究ー天正地震・信濃小谷地震を中心に―
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17K18508
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 瑞穂 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (60583755)
小野 映介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 1714年 / 正徳4年 / 長野県白馬村 / 長野県小谷村 / 土砂ダム / 家屋倒壊 / 死亡者数 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度の成果は,以下の4点である。 1、1714年3月15日の正徳4年信濃小谷地震について、「信府統記 第六信濃国郡境記巻四」記載の被害記事は検討により『新編信濃史料叢書 第五巻』よりも内閣文庫本のほうが正確であることを明確にした。それにより本研究では内閣文庫本によって研究を進めることとした。「信府統記」記載の死亡者数は、千国村30人、堀ノ内村14人の計44人である。これは松本藩の死亡者数は全体で56人であるから、千国村・堀ノ内村2か村だけで松本藩の死亡者の78.6パーセントを占める。この正徳4年の地震は松本藩大町組のうちの北部、姫川沿い地域(白馬村・小谷村)に家屋・死亡者の被害が集中していることから正徳4年の震源域は現在の白馬村・小谷村地域であることを明確にした。 2、171年信濃小谷地震で土砂ダムが形成された千国村枝郷坪ノ沢の下流・来馬下寺の山裾にトレンチを設定し発掘を行った結果,最大厚80cmを測る洪水砂層が検出された。この層内の炭化物の年代測定および文献古記録等の照合をした結果、この洪水が信濃小谷地震によって発生したものであることが確かめられ、姫川渓谷全体を覆い尽くすほど破壊力の大きい洪水であったことが計算上の推定ではなく実態として初めて明らかになった。 3、171年信濃小谷地震についてはその根拠となる史料が少ない。このため長野県内を中心に小谷地震に関する文献史料の所在確認調査を行った。この結果、白馬村峯方の大庄屋の文書の中に、小谷地震に因る峯方村の家屋の被害状況を示す史料を確認することができた。このことから、小谷に近接する白馬村においても甚大な被害のあったことを証明することができた。 4、1714年信濃小谷地震による被害(家屋の倒壊・山崩れ・田畑の浸水など)と地形環境の関連性を解明するための基礎的作業として、被害地域について空中写真判読に基づく地形分類図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、1714年信濃小谷地震について、史料・発掘・地形調査を行った。史料調査では内閣文庫本の「信府統記 第六信濃国郡境記巻四」記載の被害記事の検討を行い、新編信濃史料叢書本よりも良質の史料であることを確認し、内閣文庫本によって被害率を検討し、1714年信濃小谷地震の震源域は長野県白馬村・小谷村地域であることを確認した。 また、史料調査により、従来知られていなかった白馬村峯方の大庄屋の文書から信濃小谷地震による家屋被害が記された史料を見出した。 発掘調査では、171年信濃小谷地震で土砂ダムが形成された千国村枝郷坪ノ沢の下流・来馬下寺の山裾にトレンチを設定し発掘を行った結果、最大厚80cmを測る洪水砂層が検出し、この洪水が信濃小谷地震によって発生したものであることを明らかにし、この洪水が姫川渓谷全体を覆い尽くすほど破壊力の大きい洪水であったことを明らかにした。 さらに、地形調査については、被害地域について空中写真判読に基づく地形分類図を作成するなど、当初の計画どおり研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は1586年天正地震の地震史料を中心に研究を行う。29年度に開始した1714年信濃小谷地震の研究もひきつづき行う。 地震被害地である滋賀県長浜市周辺地域を中心に調査を行う。考古学の研究成果によって激震地域と推定される長浜市地域を中心に文献・遺物・地形調査を行い、激震地域であるかどうかについて検討する。 春の研究打合せ会で今年度の研究計画を具体化し、秋の打合せ会では文書・遺物・地形の総合的検討を行い、激震地と規模を確定する。 また、最終年度なので、滋賀県長浜地域の地震被害と柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯との関係を検討する。さらに、天正地震と敦賀湾伊勢湾構造線の養老―桑名―四日市断層帯と柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯がそれほど時間を置かないで動いたのかどうかについても検討する。
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Causes of Carryover |
科研採択決定の時期が遅れたので、その期間分の計画を実施できなかった。できなかった計画を30年度の早い時期におこなう計画を立てている。
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Research Products
(4 results)