2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of an inland earthquake of the early 18th century from the end of 16th century:1586 Tensyo earthquake and 1714 Shinano Otari earthquake
Project/Area Number |
17K18508
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40200521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 瑞穂 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60583755)
小野 映介 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90432228)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 1586年天正地震 / 1718年伊那・三河地震 / 警固断層 / 常光寺年代記 / 飯田 / 越前 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度の成果は,以下の4点である。 1. 確実な史料により1586年天正地震被害地域を特定した。多門院日記には美濃・尾張・近江で多くの死者が出ると記され、兼見卿記には丹後・若狭・越前では津波のため在所が押し流され多くの人が亡くなり近江・伊勢でも多くの人が亡くなったと記される。荘厳講記録には白河・帰雲の両山が崩れ内嶋氏ほか500人余が瞬時に死去し近江国左保山・近江国長浜・尾張国河内・越前国北ノ荘・越前国敦賀も被害を受けたと記される。貝塚御座所日記には飛彈国帰雲は山が崩れ、山河が塞き止められ大洪水が発生し幕府奉公衆内嶋一類・地下人すべて死亡し、近江・越前・加賀で特別大きな地震が起こり、和泉・河内・摂津も同様と記される。以上により美濃・尾張・伊勢・近江・飛彈・丹後・若狭・越前・加賀・和泉・河内・摂津が大きな被害を受けた地域であることを明らかになった。 2、享保三年(1718)七月二十六日の伊那・三河地震の全体像を明らかにするために月堂見聞集等の検討を行い、大阪府池田市地域では日記に大地震と表記するような揺れがあり、吉田藩領・淀城では地震による被害があったこと、朝林後編によると松本市・諏訪市・伊那市高遠町・飯田市の4箇所のうちで飯田市の被害がいちばん大きいこと、月堂見聞集には九月十二日の風雨の記事のあとに記された「信州飯山のあたりは大地震で城・民家まで大破損」という記事の「飯山」は飯田の書き誤りで、この地震記事は七月二十六日の飯田の被害を書いたものであることを明確にした。 3、常光寺王代記并年代記の検討を行い、少なくとも天正地震記事を含む文正元年以降の記事は代々の住職が書き継いだものであり各同時代史料として信頼できることを明確にした。 4、福岡平野の警固断層(東南部)の最新活動年代について、考古データの検討結果にもとづき縄文時代早期後葉の塞ノ神Ⅱ(中)式とする仮説を提示した。
|
Research Products
(12 results)