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2018 Fiscal Year Research-status Report

Study on Reconstruction of Historical Monuments and Archaeological Sites Using 3D Images from Photographs

Research Project

Project/Area Number 17K18520
Research InstitutionKashihara Archaeological Institute , Nara prefecture

Principal Investigator

西藤 清秀  奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 嘱託職員 (80250372)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2020-03-31
Keywords3次元画像 / パルミラ / 消滅した古墳群・古墳 / 米軍空中写真 / 石光山古墳群 / 小山田古墳
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、紛争、開発、自然災害により消滅した有形文化財(以下文化財)・建造物を3次元画像として再現することである。紛争や自然災害は、多くの重要な文化財や建造物の破壊を招き、また昭和の高度経済成長期の宅地開発や社会インフラ整備は、多くの遺跡を消滅させた。これら対して本研究は、2点に焦点を当て実施する。
第1点はISに爆破されたシリア・パルミラ遺跡ベル神殿の3次元画像をもとにした再現、第2点は宅地開発等で消えた古墳群・古墳の過去の写真による3次元的再現である。第1点のベル神殿の3次元画像の再現は、ドイツ考古学研究所の画像の提供により、一昨年より僅かに進展した。
第2点の過去の写真を活用しての古墳群・古墳の3次元画像の再現は、住宅開発で消滅した奈良県御所市石光山古墳群、同市西松本古墳群、さらに長年の耕作地利用と学校建設によって墳丘の姿を変えていった明日香村小山田古墳において実施した。これらの古墳群・古墳の3次元的再現には戦後直後、1940年代後半に米軍によって撮影された空中写真を利用した。その結果、石光山古墳群では、一基一基の古墳の位置を明確に確認できた。西松本古墳群では、過去に調査された古墳の位置が報告文だけであったが、今回の画像から調査された古墳の位置を検証することができた。明日香村小山田古墳では、学校建設によって外観的にはほとんど消滅した古墳の墳丘を学校建設前の1948年の姿に甦らせることができた。
本研究において過去の画像を現代的に活用し3次元化した結果、消失する前の古墳・古墳群とその周辺地形の新たな姿を再現することができた。今後、古墳群や古墳の歴史的立地環境を考える上で絶好の材料を提供することができ、新たな研究への窓口を開くために大いに貢献できると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、ISに爆破されたシリア・パルミラ遺跡ベル神殿の計測3次元画像に現存する2次元画像を合成し、精度の高い3次元画像を再現することと宅地開発等で消えた古墳群・古墳の過去の写真により、それらを3次元的再現する2点に焦点を当てて実施している。
第1点については、現在までパルミラ・ベル神殿の3次元画像の再現は、多くの研究者・組織からの提供やWeb上の画像を活用し、それらの合成を図っているが、現地において実際に3次元スキャナーで計測したデータによって作成した3次元画像に一般的に撮影された2次元画像である写真を合成することが難しい状況にある。しかし、神殿に施された細部のレリーフや石材の表面がより鮮明になってきている。その意味で概ね順調に進捗していると言える。
第2点については、消滅する前の古墳群や古墳の空中写真を活用し3次元化した結果、古墳群内の個々の古墳の位置関係や古墳・古墳群とその周辺地形の新たな姿を再現することができている。その意味で本研究は、概ね順調に進捗している。

Strategy for Future Research Activity

本研究は、ISに爆破されたシリア・パルミラ遺跡ベル神殿の計測3次元画像に現存する2次元画像を合成し、精度の高い3次元画像を再現することと宅地開発等で消えた古墳群・古墳の過去の写真により、それらを3次元的再現する2点に焦点を当てて実施している。
第1点のパルミラ・ベル神殿については現在、レバノン・ベイルートに所在するフランス考古学研究所(IFAPO)が所蔵する1970年代におけるベル神殿調査時の写真を閲覧し、それらの中で3次元画像への合成の可否について検討したいと考えている。さらに現在、シリア古物博物館総局に日本でPhotogrammetryの技術を習得したスタッフ4名に、彼らがパルミラに行った際に爆破されたベル神殿のうち遺存する基壇や本殿入口スロープの写真撮影を依頼している。このデータが入手できれば、欠損の多い、神殿基壇および周辺部の3次元画像合成が可能となり、精度の高いベル神殿3次元画像が出来上がると考えている。
第2点の宅地開発等で消えた古墳群・古墳の過去の写真による3次元的再現については、昨年度、石光山古墳群と小山田古墳において再現可能であることが確認できた。そのため今年度は、石光山古墳群、小山田古墳の現況の赤色立体地図の作成を行い、その画像と米軍空中写真の合成によって作成した3次元画像を組み合わせ、新たな3次元画像の作成の可能性を確かめる。また応募時に挙げた群馬県内の古墳・古墳群についても古写真の存在が確認できれば3次元画像を作成したい。

Causes of Carryover

ベル神殿の古写真を入手すべく、レバノンおよびフランスのフランス考古学研究所に研究協力者とともに渡航する予定であったが、日程の調整が付かず、延期した。さらに渡航によって入手した画像の合成に関わる経費も繰り越した。その分は2019年度の画像入手の渡航費とし、他に画像入手および画像合成に関わる経費も必要となる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 1940年代の米軍空中写真の3次元化による古墳・古墳群2018

    • Author(s)
      西藤清秀・久保学
    • Journal Title

      第35回日本文化財科学会

      Volume: 35 Pages: 21

  • [Journal Article] The Future of Palmyrene cultural Heritage2018

    • Author(s)
      Saito, Kiyohide
    • Journal Title

      Proceedings & Report of the Conference ”Saving the Syrian Cultural Heritage for the Next Generation: Palmyra, A Message from Nara” July 11- 14, 2017

      Volume: 1 Pages: 85-89

  • [Presentation] 1940年代の米軍空中写真の3次元化による古墳・古墳群2018

    • Author(s)
      西藤清秀・久保学
    • Organizer
      第35回日本文化財科学会
  • [Book] Proceedings & Report of the Conference ”Saving the Syrian Cultural Heritage for the Next Generation: Palmyra, A Message from Nara” July 11-14, 20172018

    • Author(s)
      Saito Kiyohide and Takumi Sugiyama (ed.)
    • Total Pages
      221
    • Publisher
      Taiyodo Co. Ltd.
    • ISBN
      978-4-905398-76-9

URL: 

Published: 2019-12-27  

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