2017 Fiscal Year Research-status Report
A multisectoral anthropological study of how people acquire knowledge of the environment after the nuclear accident in Fukushima
Project/Area Number |
17K18523
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内山田 康 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50344841)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 原発事故 / 放射能汚染 / 環境放射能 / 環境の知 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内における調査:(1)福島では原発事故の放射能汚染に関してどのような研究成果が一般の人に向けてコミュニケーションされているのか。この問題に関わるデータを収集するために、避難解除された地区に帰還した人たち、帰還するかどうか迷っている人たち、帰還を断念して移住した人たち、避難しなかった人たちを対象として聞き取り調査を行った。(2)研究機関、公的機関において、原発事故の放射能汚染に関して、どのような研究活動が行われていて、それはどう公開されているのか。それはどのように受容されているのか。この問題に関するデータを収集するために、アクアマリンふくしま、福島大学環境放射能研究所において聞き取りと、参与観察を行った。(3)海外から福島に調査に来ている研究者たちとディスカッションを行なった。また一部の研究者とは共同でフィールドワークを行なった。また京都大学および同志社大学において、研究者とディスカッションを行なった。
海外における調査:(1)フランスのパリで福島の原発事故を調査してる研究者と会い、それぞれの研究について情報を交換した。(2)ノルマンディーで環境放射能の調査を行なっているACROを訪れて、研究の内容、情報のコミュニケーションについて聞き取りを行なった。コンタンタン半島にあるフラマンビル原発およびラ・アーグ再処理工場の周辺を訪れて、環境の放射能汚染についての聞き取りを行なった。(3)パリで行われた放射能汚染に関する市民の研究会に参加した。(4)原発が建設されることになったエチオピアで、原子力開発をどのように考えているのか、アジスアベバ大学の研究者たちと意見交換を行なった。
研究成果:(1)「戸惑いと嘘:福島第一原発とラ・アーグ再処理工場の近くで真実について考える」『歴史人類』46:73-91.(2)「戸惑いと嘘」『日々の新聞』2018年3月15日より2回のペースで連載中。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学において仕事量が非常に増えており、学内業務との調整が合わず、当初予定していたフィールドワークの日数が確保できなかったために、データ収集の領域で遅れている部分がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も福島の浜通りを中心に調査をつづける。また海外の研究者でフクシマの事故後の研究をする研究者が数多くいるので、日本および海外で研究交流を行う。環境の放射能汚染とそれに関する知識の獲得について比較研究を行うために、放射能汚染が起きた地域で複数回にわたり参与観察を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
大学の業務が忙しく、フィールドワークに出かける時間が十分に取ることができなかったために予算に使い残しが出た。次年度は長期の海外調査を行い、その海外調査に予算を使う予定である。
|