2018 Fiscal Year Research-status Report
A multisectoral anthropological study of how people acquire knowledge of the environment after the nuclear accident in Fukushima
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17K18523
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内山田 康 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50344841)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 原子力 / 放射能 / 科学の人類学 / ホロビオント / 核兵器 / 生活世界 / 主権権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年6月に下北半島、7月にいわき市、9月にフランスのリヨン、カーン、ラ・アーグ、12月に富岡町、2019年2月に英国のセラフィールド、3月にフランスのルーアン、カーン、ラ・アーグで調査を行った。調査の結果の一部は、原発事故の報道を続ける福島県いわき市の「日々の新聞」に月2回連載を続けた(内山田康「戸惑いと嘘」第3回~第26回)。また2019年2月21日に筑波大学で行われた国際シンポジウム "Wasted Matter -- Wasted Lives" において口頭発表(Why live with Nuclear Wastes? La Hague, Sellafield and Fukushima)を行った。またフランスのカーンにある、環境放射能を監視するNGOの報告書を日本語に翻訳して、ACROのホームページに掲載すると共に、「原子力資料情報室通信」539号に「核燃料--ある芳しくないフランスの現状」として掲載された。 フランスにおけるフィールドワークの2年目は、事情もよくわかって来て、また言葉にも慣れたこともあり、アクターたちの多様な関係が見えて来た。福島第一原発を含む日本の原子力施設、セラフィールド、ラ・アーグの間に、原子力関係の人(原子力産業で働く人々、環境放射能の影響について研究する研究者たち、原子力政策に反対する人々)とモノ(技術、機械、核燃料物質、放射性廃棄物、環境に放出された放射性核種など)の移動があったことが、マルティ・サイティッド・エスノグラフィーの実践によって明らかになった。 方法論的には、科学技術の人類学、原子力政策、社会運動、社会と自然とわけないスーパーオーガニズム/ホロビオント/ガイアの視点を導入して、記述と分析を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一年目の遅れのために、予算を3年目に繰り越すことになったが、2年目は幸運にも、多方面で進展があり、当初は想像していなかった諸アクター間の関係を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
使い残した予算を繰り越した3年目は、今まで調査して来たフクシマ、ラ・アーグ、セラフィールドに加え、ウラン鉱山開発に関わった先住民と原住民の調査も行う予定である。また「戸惑いと嘘」の第1回目から32回目までを、2019年秋に刊行する予定で準備を進めている。
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Causes of Carryover |
初年度に研究時間が十分取れずに使えなかった助成金があり、次年度使用額が生じた。未使用額については国内外で、調査費用として使用する予定である。
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