2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering Asian Images from the Peripheral Interfaces: With Particular Reference to the Representation of the Border Zones in Indonesia and Australia
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17K18533
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 教授 (20324676)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 海域世界 / 境域 / アジア地域像 / 越境移動 / ティモル海域 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、オーストラリアではシドニーの海事博物館、キャンベラのアボリジニ・トレス海峡民の権利運動のモニュメント群、国立美術館、国立博物館、戦争博物館を訪問、先住民に関わる歴史表象や豪州への移民史に焦点をおいて観察調査をおこなった。ドイツでは、ハンブルグの歴史博物館、リューベックの欧州ハンザ同盟博物館において、欧州における海域世界の歴史表象について観察調査をおこなった。インドネシアでは、ジャカルタの国立博物館lにおいてインドネシアの歴史表象の観察調査をおこなった。他に、インドネシアの国立ガジャマダ大学、シンガポールのシンガポール国立大学図書館で文献調査をおこなった。これらの調査で得た資料のうち、インドネシア東部からオーストラリア北部に至る人・モノ・技術の移動交流史に関する資料を整理し、今年度も引き続き、『ティモル海における豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』の作成を進めた。ただし、同DBはまだ公表するまでには至っていない。海サマ(バジャウ)を中心とする海民の移動史に焦点をおいた研究成果の一部は、9月にドイツ・ベルリンのフンボルト大学で行われた欧州東南アジア学会(EuroSEAS)で、Political Genealogy of Creolism: The Sea Peoples’ Arts of Coping with the Authorities in Southeast Asian Maritime Worldのタイトルで報告した。2019年6月には、拙著『国境を生きる--マレーシア・サバ州、海サマの動態的民族誌』(木犀社)を対象とする合評会が東南アジア学会関東例会において開催され、長津が同書に記された海民表象に関する論考について説明すると同時に、三人の評者が同論考を政治論、民族論、海民論の視点からそれぞれ再検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
冬期休暇から春期休暇にかけて実施する予定だったオーストラリアでの歴史表象に関する現地調査(2回目)が、同地の森林火災と新型コロナウィルス拡大のため実施できなかった。『豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』も、同調査の成果を欠いたため、完成させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
中止したオーストラリアでの歴史表象に関する現地調査は、2020年度夏期休暇ないし春期休暇に延期して実施する。この調査結果を組み込んで、2020年度中に『豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』を資料集のかたちで完成させる。同DBは、東洋大学アジア文化研究所の刊行物として資料集のかたちで公表する予定である。現時点では、研究内容じたいの変更はしていない。
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Causes of Carryover |
冬期休暇から春期休暇にかけて実施する予定だったオーストラリアでの歴史表象に関する現地調査(2回目)が、同地の森林火災と新型コロナウィルス拡大のため実施できなかったため。
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